徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

【産経抄】子を守るのは誰の仕事か 2023/10/11 05:00

記者会見する男子生徒の父親=令和4年10月11日午後、大津市

朝刊1面の『朝の詩(うた)』には、若い人からの投稿も載る。年齢と不相応にシリアスな筆致を目にすると、余情が長い尾を引き、心の整理がつかないこともある。年前の夏に載った『逃げ』はいまも忘れ難い。全文をここに引く。

▼<逃げて怒られるのは/人間ぐらい/ほかの生き物たちは/本能で逃げないと/生きていけないのに/どうして人は/「逃げてはいけない」/なんて答えに/たどりついたのだろう>。作者は、当時13歳の女子生徒である。何があったのだろうか。

▼逃げていい。学校で教室で、そう教えねば子供の命を救えない時代になった。同級生のいじめに耐えかね、大津市の男子中学生が自ら命を絶ったのは、12年前のきょうだった。いじめ防止対策推進法が、制定される契機となった出来事である。世の中が前に進んだとは言い難い。

▼令和4年度に全国の小中高校で認知されたいじめは約68万件、小中学校で不登校となった子供は約29万人といずれも最多となった。身体的被害や長期欠席につながった「重大事態」は、約割がいじめとして認知されないまま、深刻化したという。

▼いじめを理由とする不登校0・2%に過ぎない。多くの子供が、逃げることもできず膝を抱く姿が目に浮かぶ。いじめを苦に命を絶つ若者と「因果関係が不明」と認めぬ学校、この10年あまり繰り返されてきた構図である。誰が何を怠り招いた結果なのか、精査が欠かせまい。

▼無理に学校に行かなくても―という保護者は増えている。子供を守るのはさて、誰の仕事なのだろう。先の詩を書いた少女のその後は分からない。誰かに守られたのか。学校を見限り、逃げて自分を守ったのか。無事に成人したことを、ただ願うばかりである。