「神に名をかりた人間否定」「私の子も去っていった」。「原理運動」にのめり込んだ大学生の「悩める父」が小紙に投書を寄せたのは1967年、統一教会が大学対象の原理研究会を組織して数年後のことだ
▲合宿生活で親と没交渉になり、献金のためのアルバイト優先で大学を退学する例が相次いだ。原理研は信者獲得のための偽装サークルといわれ、子供たちを取り戻そうと父母の会が結成された
▲80年代以降に社会問題化した霊感商法。芸能人を巻き込んだ合同結婚式。安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件を機に教団の問題点に改めて光が当たったが、韓国生まれの宗教団体は日本社会に深く浸透していた
▲「私たちは二重の組織を持たなければならない。一つは教会組織であり、一つは勝共組織である」。78年の米議会報告書は創始者の文鮮明氏の言葉を引用して「日本の有力な右翼勢力と手を結び、選挙運動に公然と参加した」と記した
▲文部科学省が世界平和統一家庭連合（旧統一教会）の解散命令を東京地裁に請求した。税制優遇を受ける宗教法人でいいのか。審理を尽くしてほしいが、自民党を中心とした政治との関係は別問題だ
▲十分な説明責任は果たされていない。多くの関連会合に出席した細田博之衆院議長が辞任を前にようやく会見に応じたが、今さら「特別な関係はない」と言われてもまるで説得力がない。教団資産を被害者救済に充てるための法整備を求める声も多い。政治の責任は重く、幕引きにはまだ程遠い。
