徒然なる儘に ・・・ ⑤

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「大事なのはGNPだから…」 プレゼントに政治資金、内向きの論理 東郷隆 野間あり葉 編集委員・伊藤嘉孝2023年11月18日 19時00分

 国会議員が関係する政治団体の2021年分の政治資金収支報告書計約4万枚を調べたところ、議員186人の関係団体が「贈答品」や「ギフト代」などとして計約9200万円を支出していたことがわかった。ただ、何を誰に贈ったかは明記する必要がなく、不適切な使われ方をしていないかチェックできない仕組みになっている。

  • 「大事なのはGNPだから…」 プレゼントに政治資金、内向きの論理
  •  最新の公表済みの政治資金収支報告書は2021年分だ。

     そのうち「贈答品代」への支出額が最も多かったのは、遠藤利明元五輪担当相(自民)が代表を務める政治団体だった。

     63回、計827万円の支出の内訳は、スポーツ用品大手「アシックス」に計212万円▽地元山形県名産のサクランボ農園に計124万円▽カタログギフトを扱う都内の企業に56万円など。21年11月5日には、米沢牛などを扱う食肉店3店に計111万円を支払っていた。

    自民議員「法令に従い適正に処理」 具体的な説明なく

     品物や贈り先をたずねると、遠藤氏は文書で「政治資金の収支については、法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」と回答を寄せたが、具体的な内容の説明はなかった。

     次に多い林幹雄元幹事長代理(同)の団体は、「商品券購入代」「贈答品購入代」として51回、計397万円を支出していた。商品券購入代(計75万円)は東京都内の百貨店への支払い。贈答品代としては、JR新橋駅近くの金券ショップで4回計56万円、オーダースーツで知られる都内の洋品店で2回計88万円を支出。林氏も取材に「法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」とし、品物や贈り先については答えなかった。

     3番目は稲田朋美防衛相(同)の団体の「贈答品代」で計308万円。いずれも地元福井県のごま豆腐などを扱う店に計65万円、ニット店に計62万円を使っており、稲田氏も「政治資金規正法に従い適正に処理しています」とした。

    「昔からの習慣、もらうからには返さないと」

     贈り物はどう渡されるのか。支出額が多い議員らから具体的な回答は得られなかったが、現役議員のベテラン秘書らが取材に口を開いた。

     「多くは国会議員への贈り物だ」と与党議員のベテラン秘書は話す。自身が仕える議員の先輩議員の誕生日プレゼントとして高級ブランドの装飾品を、初入閣した議員へのお祝いとしては1本5万円程度のワインを、購入してきたという。自身が仕える議員が入閣した際のお祝いとして、同僚議員から商品券やビール券をもらったこともあるといい、「昔からの習慣で、もらうからには返さないと、と続いてきた。礼を失することによる失点を防ぐためだ」という。

     別の与党議員の秘書は「プレゼントで人間関係がスムーズになることもある。立派な政治活動だ」と話す。

     義理、人情、プレゼントの頭文字をとって「政治に大事なのはGNPだから」と話す与党ベテラン議員もいる。

     野党で最も多い54万円の支出があったのは中村喜四郎衆院議員(立憲)の関係団体で、中村氏からは取材への回答が得られなかった。2番目に多い37万円を関係団体が支出した斎藤嘉隆参院議員(同)は「議員同士の会合の際の手土産など」に使っていると説明し、「透明度を向上させるための議論は必要だ」とした。

     勉強会の講師の大学教授にお菓子を渡すため支出してきたという野党幹部は「議員同士で潤し合う余裕はないし、そんなことは寄付してくれた人に申し訳なくてできない」と語った。

    突如タマネギ、ワイン専門店で63万円、エルメスに5万円

     支出先として目立ったのは百貨店だった。

     斎藤健前法相(自民)の団体からは計148万円、西村康稔経済産業相(同)の団体からは計95万円が百貨店に支払われていたが、報告書には百貨店名と金額があるだけで、どこの店舗で何を購入したのかはわからない。取材に斎藤氏は「政治資金規正法にのっとり、適正に報告している」、西村氏も「法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」と回答した。

     なぜ百貨店なのか。自民の元閣僚のベテラン秘書はオフレコを条件に「報告書を見ても、具体的な店名がわからず品物の内容も想像できないので、詮索(せんさく)をされたくない時に使う」。ほかに「包装紙や紙袋が大手百貨店のものだと見栄えがいい」(自民議員秘書)との声もあった。

     贈り物の内容で、議員らへの取材でたびたび話題に上がった一つがタマネギだった。名産地の淡路島兵庫県)が自身の選挙区の西村氏が、広く議員会館などで配っているといい、受け取った側からは「ほとんど面識がないのに突然スタッフを通じ届けられる。どういうつもりなのか」(野党ベテラン)との戸惑いの声も上がる。

     西村氏は取材に「地域発展のため地元産品の紹介PRをしている」と文書で説明した。ほかの議員でも、果物や肉など地元の特産品の店に数十万円単位で支出するケースがあった。

     お酒や高級ブランドの店への支出もあった。加藤勝信厚生労働相(同)の団体は「贈答品費」として、ワイン専門店に1度に63万円を支出したほか、エルメスでも5万円を使っていた。加藤氏は「法令にのっとって適正に処理している」とした。

  • 【そもそも解説】政治資金収支報告書とは? 今もなお多い「抜け道」
  •  Q 政治資金収支報告書とはどのようなものなのか。

     A 政治家は活動のためのお金を、自身の関係政治団体を通じてやりくりしている。政治団体はいわば政治家の「財布」の役割。その収支の報告書は毎年、総務相都道府県の選挙管理委員会に提出しなければならない。そして総務省都道府県選管が、毎年11月にまとめて公表する。

     Q 関係の政治団体とは。

     A 議員自身の資金管理団体や、代表を務める政党支部、後援会などがある。主な収入は、個人や企業・団体からの寄付、有料で開く政治資金パーティーの収入、税金が原資の政党交付金などで、収入のほとんどは非課税だ。

     Q 報告書には何が書かれているのか。

     A 寄付をした個人や企業の名前、住所、金額などが書かれ、政治資金パーティーの売り上げや、税金でまかなわれる政党交付金を含んだ党本部からのお金がいつ、いくら入ってきたのかもわかる。支出では、事務所の家賃や電話代、タクシー代、会食代、贈答品代といった使途と、金額、支出先がわかる。

     Q 収支はすべてわかる形になっているのか。

     A そうとはいえない。たとえば収入では、年5万円以下の寄付をした人や、パーティー券の購入額が1回につき20万円以下の人の名前は記載不要となっている。支出では「人件費」は総額を書けばいいため、受け取った人数や名前はわからない。贈答品については、どこの店でいくらお金を使ったかはわかるが、何をいくつ買ったのかは記されず、渡した相手も不明だ。

     Q 不透明ではないのか。

     A 政治資金規正法は、報告書公表の理由を「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」とし、ここ20年ほどでインターネットでの公表も進んできた。それでもなお、抜け道が多いとの指摘は根強い。改革の必要性を訴える声が一部議員から上がることもあるが、自身の手足を縛ることになるからか、議論は低調だ。(東郷隆)

 朝日新聞は今回、データサイエンスの専門会社と協力し、公表済みのうち最新の21年分の報告書を調べた。対象としたのは参院選直後の昨年8月時点で国会議員だった約700人。議員の「関係政治団体」として、総務相都道府県の選挙管理委員会に届けられている約1900団体の全報告書約4万枚を、報告書の全ページを人工知能(AI)の技術も用いながら画像解析し、「贈答」や「土産」などの支出を抽出した。記者による確認も加えた。

 支出があった議員(昨年8月時点)は、所属政党別に、自民党164人▽立憲民主党9人▽日本維新の会7人▽国民民主党4人▽公明党2人で、8割強が自民だった。

 総額の9割超が自民議員で、立憲、維新、公明、国民と続いた。議員別で最も多かったのは遠藤利明・元五輪相(自民)で、八つの関係政治団体の支出総額約1億6千万円のうち827万円を贈答に使っていた。次いで多い順に、林幹雄・元幹事長代理(同)397万円▽稲田朋美・元防衛相(同)308万円など。野党で最も支出していたのは中村喜四郎衆院議員(立憲)の54万円だった。

百貨店、食肉店などに十万円超「政治家同士の贈り物に」

 一度に10万円を超える支払いがあったのは、大手百貨店、金券ショップ、ワイン専門店、食肉店、オーダースーツで知られる洋品店など。政治資金規正法は、支出先や金額を報告書に記すよう定めるが、具体的な品物や贈り先は不要のため、購入品や贈り先はわからなかった。「政治家同士の贈り物に使う」と話す議員秘書もいる。

 国会議員の関係政治団体は、個人や企業からの寄付や、税金が原資の政党交付金などで活動している。公職選挙法は、国会議員が自身の選挙区内の人にお金や物を贈ることを禁じており、贈り主が政治団体名義でも、議員名を示したり議員名が類推できたりする形であれば議員からの寄付とみなされ違法となる。

 政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は「政治家が情報収集のために会った要人や、勉強会に招いた識者へのお礼といった妥当な支出もありうるが、相手がわからない以上、違法な寄付に当たる疑いも否定できない。政治資金は公金の性格が強く、使い道の説明責任がある。今回のような調査は人の目で行うことは難しく、なかなか見えてこなかったデータだ」と話している。(東郷隆、前田健汰、谷瞳児)

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 調査の手法 政治団体の支出のうち、贈答▽土産▽ギフト▽祝い▽中元▽返礼▽歳暮▽品代▽品物▽差し入れ▽酒代▽謝礼▽記念品▽商品券▽ビール券、といった他人に贈り物をする目的とみられる支出を抽出した。交際費や渉外費などに区分されているものを対象とした。事務所費に区分されている場合は、事務所内の物品購入などが考えられるために除外し、政治資金パーティー費の場合も、出席者への土産とみられるため除いた。