徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

(天声人語)キッシンジャー氏死去 2023年12月1日 5時00分

ドクター・ジョーンズミスター・ヨシダ。2人は、スパイ小説ばりに互いをそう呼ぶことに決めた。日米の国際電話で会話を重ねても、これなら交換手に正体がばれない。互いのボスは「友人」とした

 

 

▼偽名にしたのは、わけがある。1969年、2人は沖縄返還の秘密交渉にあたった。結ばれたのが、米国は有事に再び核を持ち込めるとした密約だ。ヨシダは佐藤栄作首相の密使だった若泉敬氏。そしてジョーンズは、のちに米国務長官となるキッシンジャー氏だった

 

▼陰謀好きの秘密主義者、ノーベル平和賞の受賞者、究極の現実主義者……。一人の人物がさまざまな評価で語られるというのは、それだけ複雑な顔を持っていたということか。キッシンジャー氏が100歳で亡くなった

 

 

ユダヤ難民として、15歳でドイツから渡米した。20代で「弱さは死を意味する」と手紙に書き、正義より力が秩序をもたらすと信じた。中国を懐柔してソ連を牽制(けんせい)し、アメリカの優位を保つ。力の均衡を柱とした外交を1970年代に繰り広げた

 

▼自らが道を切り開いた米中関係は、生涯の懸案だったろう。「我々の課題は、状況がホロコーストにならないようにしながら競争できる関係を見つけることだ」と、晩年まで警鐘を鳴らした

 

▼二つの大国が協調という大道を歩むのは容易でない。それは承知のうえだった。しかし「あらゆる偉大な成果も、それが現実となる前は構想にすぎなかった」。キッシンジャー氏は、よくそう言ったという。