徒然なる儘に ・・・ ⑤

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加賀屋、おもてなし出向中 地震で休業「ホテルの接客、吸収してきて」 石川の温泉旅館、全国へ100人 2024年5月16日 16時30分

 「日本一のおもてなし」で知られる石川県七尾市和倉温泉の老舗旅館「加賀屋」。能登半島を襲った元日の地震によって、グループの計4館の旅館は、いずれも営業休止を強いられている。そんな同社は、社員約100人を全国の宿泊施設や飲食店に出向させた。休業期間中に社員が働く場を確保するのが狙いだが、受け入れ側には「日本一」の接客スキルを学ぶ好機になっている。

 

 JR名古屋駅の上に立つセントラルタワーズ。その上層部に構える「名古屋マリオットアソシアホテル」のレストランはランチタイムでにぎわっていた。フロアでは、サービス係の原田博辰さん(36)がビュッフェの料理や食器を補充していた。きびきびと動くが忙しくても笑顔は絶やさない。できるだけ客に声をかけることを心がけている。

 「お客様と会話をすることで何を求めているのかを察知する。それを、先回りしてかなえて差し上げたい」

 原田さんは、加賀屋が和倉温泉内で運営する姉妹館「あえの風」の売店のリーダーを務めていた。

 1月1日午後4時ごろ、原田さんは売店にいた。チェックインのピーク時間帯なのに加え、ふだんより滞在客も多く、フロント近くはにぎやかだった。最初の揺れは、売店で土産物を探す客と話しているときに感じた。「これはまずいな」と思い、フロントの方に駆けようとした時に、より強い揺れが来た。ガラスが割れる音が響き、壁や天井の一部が落ちた。揺れがおさまったタイミングで立ち上がり、避難誘導に取り組んだ。

 津波警報を受けて高台の小学校に逃げた客の荷物を旅館から運び出し、売店からは土産用の菓子なども持ち出して避難場所に届けた。布団などの備品も運び、一段落したときには深夜になっていた。

 同県中能登町の自宅には大きな損傷はなかったが、旅館は休業となった。原田さんも自宅待機になった。その後、取引先から仕入れを止める調整をしたが、しばらくすると、ひとまずやるべきことは、ほぼ終わってしまった。もう何もできることがないのではないか。何もせずに日々を過ごすのは不安だ――。そう思っていたときに、出向の話がきた。「ぜひ行きたい」と即答した。

 社員を働かせてくれないか。加賀屋側からマリオットを運営するジェイアール東海ホテルズ側に相談があったのは、1月下旬のことだった。「日本一のサービススキルを学ばせて頂くよい機会になるだろう」。伊藤彰彦社長は、そう言って快諾した。マリオットで6人、「ホテルアソシア高山リゾート」(岐阜県高山市)でも4人を受け入れることにした。

 「『おはようございます』もみんなとちょっと違ってて、親しみがあるんだよね」。原田さんと日々、じかに接しているマリオットの坂口修成・料飲宴会部長は感心している。「どんなに忙しくても笑顔。旅館っぽいとも言えるが、お客様との会話の時間など、ホテルでももっとあっていい」

 一方の原田さんも、ホテルから学ぶことは少なくないという。「規模が大きくお客さんが多いので、スタッフ同士の分業、連絡の取り方が参考になる。もっと業務を効率化させられれば、その分お客様に力を向けることもできるのではないか」

 原田さんは加賀屋の幹部から「せっかくだからホテルの接客を勉強して、吸収してきて欲しい」と送り出された。さらに、こんな言葉もかけてもらった。「外で頑張っていることを、社員のみんなにも伝えたい」

 加賀屋の約100人の社員は今、北海道から九州まで各地の施設で働いている。加賀屋は早期復旧に向けて建物の診断などを進めているが、いつ再開できるかは、まだ見通しが立たないという。(大平要)