徒然なる儘に ・・・ ⑤

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(時時刻刻)低迷の共産、刷新演出 歴代最長、増幅した不満 2024年1月19日 5時00分

 共産党の「顔」が23年ぶりに交代した。同党初の女性委員長に田村智子氏(58)が就いた背景には、党勢低迷に加え、身内からも批判が上がる閉鎖性といった負のイメージを刷新する狙いがある。ただ、前委員長の志位和夫氏(69)は議長として執行部に残るため、現行の路線は当面続くとみられる。▼1面参照

 18日の党大会終了後に開かれた新執行部の記者会見。かねて指摘される党の閉鎖性について、志位氏は「党の民主的な運営を知ってもらう努力は必要だが、どの党よりもルールにのっとって意見表明する自由を保障している党だ」と反論した。

 昨年、長期にわたる志位体制を念頭に「党首公選」を求めた元党職員を除名し、批判を浴びた。大会2日目の16日には、討論に立った神奈川県議団長の大山奈々子氏が、党の「体質」に異例の苦言を呈した。

 「何人もの方から『やっぱり共産党は怖いわね。除名なんかやっちゃダメだよ。志位さんに言っといてね』って言われました」

 2000年11月に5代目委員長に就任した志位氏は、今年で70歳を迎える。初代の宮本顕治氏が12年、2、4代目の不破哲三氏が計16年だった在任期間をはるかに超え、歴代最長。党幹部が「長すぎる」と漏らし、党内でも「長期政権」の弊害を指摘する声がやまないのが実情だ。

 「理論的な柱」(別の党幹部)と評される志位氏だが、在任中は党勢衰退を止めることができなかった。党員は減少の一途をたどり、20年の27万人から今月末までに党員を30%増加させる目標を掲げたものの、逆に25万人に減少。機関紙「しんぶん赤旗」の購読者は、志位氏就任時の199万人から85万人と半減以下となった。

 さらには、志位氏が追求してきた「野党共闘」は、21年衆院選の敗北以降は機運がしぼんだまま。党幹部が「困難に直面している」と認めるように、光明を見いだせていない。そこに昨年の党員除名問題が重なり、党内の不満が増幅された。

 難局続きの局面を変えるためにイメージの刷新が急務となり、白羽の矢が立ったのが田村氏だ。

 昨年7月に発表した1922年の結党からの党史「日本共産党の百年」で、「いま抜本的な前進に転じなければ情勢が求める任務を果たせなくなる危機に直面」と指摘。志位氏は「(党の)事業を若い世代に引き継いでいくことが大事だ」と述べ、世代交代の必要性に自ら言及していた。

 田村氏は、16年に副委員長に当選1回で抜擢(ばってき)され、19年に安倍晋三元首相が主催した「桜を見る会」の問題を国会で追及したことで一躍脚光を浴びた。一定の知名度があり、他の党首は男性が多くを占める中、共産初の女性党首として「党の印象を一新できるのでは」(党関係者)と期待されている。(小林圭)

 

 ■議長に残る志位氏、「院政」の見方

 志位氏は、06年に不破氏が退いてから約17年間空席だった議長に就任した。主に理論分野や外交面を担当するとみられるが、形式上は党内最上位。さらに、志位氏が常任幹部会メンバーにとどまったことから「事実上の『院政』となるのでは」(党関係者)との臆測を呼ぶ。

 23年あまりに及んだ志位体制では、天皇制自衛隊を当面容認する姿勢に転じるなど、国民が受け入れやすい「現実路線」を進めた。民主党政権の崩壊と保守的な政策を進める安倍政権の誕生を契機に躍進。野党結集を追求するようになった。

 15年に安全保障法制の廃止に向けた「国民連合政府」の樹立を提唱すると、国政選挙で野党候補を一本化する「共闘」に奔走。21年には、立憲民主党が政権奪取した場合の協力まで合意して衆院選に臨むまでになった。

 だが、与党から「政策の異なる党の野合」と批判を受け、ともに敗北。政策委員長だった田村氏は自身のSNSで、共産が「政権に関わる存在」になったときに「全く異なる不安になるのでは」と分析。政権交代を軸にした選挙戦での訴えが「国民の中に広がる不安をつかんだものではなかった」などと省みる投稿をした(後に削除された)。

 立憲の支持団体の連合をはじめ、日本維新の会国民民主党が示す「共産アレルギー」は根強く、その後も共闘は進まない。

 こうした中での田村氏へのバトンタッチ。「まだ経験が浅い」(党ベテラン職員)との声が根強く、志位氏の影響を大きく受けるとの見方が大勢だ。党関係者は「実際にはこれまでと何も変わらない」と漏らす。党大会に参加した一人は「委員長は政策ができるだけでは務まらない。理論や党を指導する力も必要。田村氏はこれからが大変だろう」とおもんぱかる。

 早速、党大会初日の15日、当面の活動方針となる大会決議案の報告に立った田村氏は、野党共闘について「共産党の躍進こそ共闘の再構築にとって最大の力となる」と指摘。その実現を追求する考えを改めて示した。

 最終日の18日には、党首公選を訴えた元党職員の除名処分に疑問の声を上げた党員のことを、「あまりにも党員としての主体性を欠く」と厳しく批判。党の閉鎖性を象徴する「党内に派閥・分派はつくらない」という民主集中制の組織原則については、「これからも原則に基づいて強く大きな党を作り、歴史を開く」と強調。現行路線の踏襲を印象づけた。

 中道路線を掲げる立憲の幹部は「田村さんは基本的な路線を変えないだろう」とし、共産との距離感を強調。「国会対応も選挙も協力できるところは協力するというスタンスは変わらない」(岡本智)

 

 ■<考論>抜本的転換、考えるべき時 中北浩爾・中大教授政治学

 志位前委員長の在任が20年を超え、党内では長すぎるという批判がくすぶっていた。党はジェンダー平等に力を入れており、女性で人気がある田村氏を委員長に選んだのではないか。ただ、田村氏はこれまでの宮本顕治不破哲三、志位の各氏とは違い、マルクス主義の理論家とはいえない。不破氏の引退も加わり、党の理論的水準の低下に拍車がかかりかねない。

 共産党の場合は、前指導部が次の指導部を推薦する形で人事を行い、自由で公正な選挙は事実上、実施されない。継続性が担保される一方で、変化は生みにくい。今後も志位氏による「院政」が予想される。

 志位氏の最大の功績は、2015年の安保法制反対運動を契機に野党共闘に踏み出したことだ。「自衛隊活用論」など柔軟性も示した。しかし、日米安保条約の廃棄を掲げる革命政党であり続けたため、野党共闘は行き詰まった。

 この間、党勢の衰退が進み、財政的にも困難に直面している。その原因は、ソ連崩壊などでマルクス主義が魅力を失ったことだ。トップダウン的な民主集中制という組織原則が時代遅れになっていることも大きい。抜本的な転換を考えるべき時ではないか。

 田村氏の人気が出て、一時的に議席が増える可能性は否定できないが、表紙を変えても中身を変えないならば、党勢の衰退や野党共闘の行き詰まりを打開できないだろう。(聞き手・三輪さち子)