徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

(天声人語)まるごと短歌 2023年8月19日 5時00分

 酒を愛した歌人若山牧水には、もう一つ愛するものがあった。川の流れをさかのぼり、峠を越える。水源から、また新しく小さな瀬が生まれている。そういう光景に出会うと「胸の苦しくなるような歓(よろこ)びを覚える」と、『みなかみ紀行』に書いている

ja.wikipedia.org

 

利根川の最上流にあたる群馬県みなかみ町の名は、この題名からとられた。白い雲、緑の山々。夏の美しさが川面にまぶしい町である。ここで先月、「まるごと短歌」という試みがあり、訪れてみた

 

▼地図を頼りに、あちこちに掲げられたQRコードを探す。読みとると、目の前を描き出した短歌が示される。歌人の大森静佳さんが招かれて詠んだ16首だ。〈ああ、ここの風は甘いと言ったとき駒形山の馬が振り向く〉

 

▼初めての風物に目を奪われながら、のんびりと、でも汗だくになって一つひとつ集めた。宝探しの楽しさだ。小さな神社には、こうあった。〈杉の影伸びたるここに踏み入れば遠き約束のようにすずしい〉

 

▼地元では当たり前の光景も、光の当て方を変えれば、埋もれた魅力が浮かび上がる。主催した地元の篠原香代さん(46)は「みなかみを短歌のまちにしたいんです」と夢を語った

 

▼紀行の旅で、牧水は歌の同人をみなかみに訪ねた。家には机もない。どこで歌をつくるのかと尋ねると「何処(どこ)という事もありません、山ででも野良ででも作ります」。文化の土壌が積もり続けてきた地なのだろう。短歌をつうじた街おこしという、新しい小さな瀬が生まれている