徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

(天声人語)江戸時代の犯罪記録 2023年10月5日 5時00分

時代は江戸、寛政9年というから西暦では17年のことである。南部家が藩主の盛岡の地で、大量の公文書が掃除係によって盗まれるという事件が起きていた。藩の調べによると、犯行は密(ひそ)かに年に及び、8千枚もの重要書類が持ち出されていたという

 

▼目的は何か。いまなら真っ先に機密漏洩(ろうえい)が疑われるところだが、掃除係が売ったのは情報ではなかった。紙の価値が高い時代である。書類は古紙として、ロウソク屋や表具師に売られていた

 

盛岡市もりおか歴史文化館で、企画展「」が開かれている。同館が所蔵する江戸時代200年分の資料から、犯罪に関する39の記録が紹介されている。殺人や誘拐のほか、武士の泥酔騒動や門番の居眠り事件などもあり、何とも興味深い

 

▼資料を読み込んだ学芸員福島茜(あかね)さんに尋ねてみた。なぜ、こうした犯罪が書き残されたのでしょう。「当時はいま以上に前例主義の社会でした。過去の事例をよく調べる必要があったのでは」

 

▼改めて、記録を残すことの意味を考える。遠い未来の人々が、私たちの時代の文書を見るとき、彼らは何を思うだろう。そもそも大事な記録が廃棄されず、しっかり残っているだろうか

 

▼冒頭の事件で、掃除係は「打ち首獄門」になった。盗まれた書類はおそらくロウソクの芯にでもなり、永遠に失われた。「盗まれなければ、いまごろここにあったかも。何の書類だったかさえ分からないのが、悔しいです」。福島さんは、そう話している。