徒然なる儘に ・・・ ⑤

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「便宜持ちかけられた」証言も 「迂回献金」指摘もある企業献金とは 谷瞳児 東郷隆 編集委員・伊藤嘉孝2023年11月24日 5時00分

 国会議員が関係する政治団体の2021年分の政治資金収支報告書を調べたところ、430人の国会議員が代表を務める433の政党支部が、少なくとも1万2千の企業・団体から計約34億円の献金を受けていたことがわかった。総額の9割が自民の支部だった。企業・団体から政治家個人側への献金は癒着を防ぐため禁止されているが、政党支部への献金は規制外で「ルールの穴」だとの指摘がある。

 国会議員が代表を務める政党支部に2021年、企業団体から30億円以上が献金されていた。議員個人への「迂回(うかい)献金」という指摘もあるなか、献金はどのように扱われているのか。(谷瞳児、東郷隆、編集委員・伊藤嘉孝)

 議員が政治活動に使うお金の「財布」の役割をするのは政治団体だ。献金は収入となり、政治活動に支出される。

 企業などから政治家個人の政治団体への献金は、癒着を防ぐため2000年から政治資金規正法で禁じられた。ただ、議員が代表を務める政党支部への献金は規制されていない。00年には全国各地で政党支部が急増し、支部への企業・団体献金の総額が前年から大幅に増えた経緯もある。

 それから20年。

政党支部から議員個人の後援会に資金移動も

 「支部を使った議員個人への迂回献金だよ」。21年に1千万円超の企業献金を受けた自民の閣僚経験者の秘書はそう言い切った。

 「議員個人の応援で献金してくれる企業が多い。支部のお金は議員の裁量で使っていて、議員個人の政治団体支部からお金を移すこともできる。(現行規制は)意味のない規制だ」

 ある議員は自らが代表の政党支部から21年だけで計1600万円を議員個人の後援会に「寄付」という形で移していた。こうした資金移動はほかの議員でも珍しくない。

 政党支部献金した企業・団体と、その支部の代表の議員とが癒着し、政策や補助金などで特定業界や企業に便宜が図られかねない。そんな懸念に対し、ある秘書は「見返りだと思われたらダメージがあるから、国会質問のときは関係する企業から献金を受けていないか入念にチェックする」。別の秘書は、議員の初入閣以降、「事業で便宜を図ってくれたら利益の一部を渡す」などと相次ぎ企業から持ちかけられたと明かし、「そういう話が出たら関係を絶つ」と強調した。

 一方、秘書の中には「資金力がない議員だったら金をもらい便宜供与をするケースもないとはいえない」という声や、少額の献金であれば癒着を疑われるほどではなく、大口献金と同等に扱ってほしくないとの声もあった。

献金する側される側、それぞれの思いは

 人工知能(AI)も活用した分析では、21年の政治資金収支報告書で企業・団体献金を最も多く集めたのは麻生太郎自民党副総裁が代表を務める政党支部(計約5700万円)で、支部の収入の4割を占めていた。

 報告書で企業名やその所在地がわかる5万円超の献金をしたのは約70の企業・団体で、所在地には東京や大阪など自身の選挙区(福岡8区)以外が目立ち、最高額は都内の建材会社からの800万円。企業からの献金の是非などをたずねたところ、麻生氏は「政治資金規正法等関係法令にのっとり適切に処理・報告している」と文書で回答した。

 計約5600万円を集めた田村憲久厚生労働相(自民)が代表の政党支部に500万円以上を献金したのは7社あった。田村氏の父親が創業したケーブルテレビ会社(1200万円)や、地元三重県の建設会社(700万円)など。献金の集め方などを事務所に文書でたずねたが、期限までに回答はなかった。

 一つの企業・団体からの献金の最高額は、柴慎一参院議員(立憲)の支部が、日本郵政グループ労働組合から受けた4千万円だった。組織内候補だった柴氏は「(22年参院選に)出馬するにあたり、政治活動用のパネル制作や事務所賃料などに必要だと組織判断されて寄付を受けた」と文書で回答。次いで高額だったのは松木謙公衆院議員(同)の支部宗教団体ワールドメイトから受けた2500万円で、松木氏は「政策や活動を応援する趣旨で頂いたと理解している」「具体的な政策などに関する要望や陳情を受けたことはない」と文書で回答した。

 献金総額が最多だった献金元はワールドメイト(計約6千万円)で、献金先は立憲7支部▽自民2支部▽国民1支部れいわ新選組1支部だった。ワールドメイトは「何の見返りも求めていない。立派な政治家が育つなら、それ自体がメリットだ」と取材に文書で回答した。

 朝日新聞はデータサイエンスの専門企業と協力し、公表済みのうち最新の21年分の報告書を調べた。対象としたのは、参院選直後の昨年8月時点で国会議員だった約700人について、総務相か、各都道府県の選挙管理委員会が公表した全報告書。人工知能(AI)の技術も用いながら、計約2万枚の政党支部の報告書を画像解析し、議員が代表を務める政党支部が企業・団体から献金を受け取っていたケースを抽出して内訳を整理した。記者による確認も加えた。

 企業・団体からの献金を受けた、国会議員が代表を務める政党支部は、自民党321支部(計約31億2千万円)▽立憲民主党75支部(計約2億1千万円)▽国民民主党12支部(計約9千万円)▽公明党23支部(計約3千万円)▽れいわ新選組2支部(計約200万円)。金額ベースでは総額の9割が自民の支部だった。

 金額の上位5支部はいずれも自民で、トップは麻生太郎副総裁が代表の支部の計約5700万円。田村憲久厚生労働相(計約5600万円)▽伊東良孝衆院議員(計約5400万円)▽茂木敏充幹事長(計約4900万円)▽萩生田光一政調会長(計約4600万円)と続いた。

 1千万円以上の献金を受けたのは計116支部で、内訳は自民109支部、国民4支部、立憲3支部。単独の企業や団体から1千万円以上の献金を受けたのは8支部で、立憲と国民がそれぞれ3支部、自民が2支部だった。

 企業や団体から、政治家個人の政治団体資金管理団体)への献金は癒着につながるとして改正政治資金規正法により2000年から禁止された。ただ、政党支部への献金は認められており、事実上、支部の代表を務める政治家個人への献金になっている面があると指摘されてきた。

 政治資金に詳しい日大の岩井奉信名誉教授は「企業や団体も国の構成員なので政治参画の権利は当然ある。ただ政党支部のほとんどは議員個人の団体の性格が強く、献金は実質的に政治家個人へのカネと言え、議員が見返りに便宜供与する疑念につながる。議員個人とつながらない政党本部に限定し献金できるルールに改めるべきだ」としている。(谷瞳児、野間あり葉、東郷隆)

 政党支部 政党が選挙区ごとなどに設け、国会議員や地方議員が代表を務める。党ごとに異なるが、たとえば衆院議員やその候補者は、選挙区ごとの支部で代表を務め、自身の事務所と支部の事務所が同一住所になっていることも多い。収入は企業・団体からの献金や政党本部からの政党交付金など。支出は事務所費やリーフレット作成費、国政報告会の経費などで、議員個人の政治団体や後援会に資金を移動させるケースもある。