徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

春秋(12月8日) 2023年12月8日 0:00 [会員限定記事]

児童文学作家の山中恒さんは国民学校4年の時、1編の作文を書いた。題は「大東亜戦争の起こった日」。12月8日朝、開戦を告げるラジオの臨時ニュースに勇み立つ。「とうとうやったぞ」「私は我が皇国の有難さをしみじみ感じました」。軍国少年の高揚がにじむ。

▼と思ったら、実のところ担任教師の手がかなり入ったそうだ。「とうとうやった」も「我が皇国の……」も加筆修正の産物である。海軍士官に憧れていたものの、そこまで熱に浮かされてはいない。軍隊の厳しさを聞き、おびえることもあった(「子どもたちの太平洋戦争」)。小さな目は本当は冷静で、かつ自由なのだ。

▼「子どもたちが綴(つづ)った戦争体験」(村山士郎著)にも、激しい文句が並んでいる。「村中国中一つになってたたかうのだ」は国民学校高等科の1年生。「米英の邪悪数えて撃ちてし止まむ」(初等科6年)の句もあった。その意気は敗色が濃厚になっても変わらない。が、どこまで本心だったか。添削もあったのだろうか。

▼幼い心に憎悪の念を植えつけ、敵意を増殖させていく。それがどれほど罪深いことか。しかし戦火の絶えない世界のあちこちで、いまもまかり通っているのだろう。「国家はしばしば、子どもたちを食いものにするし、権力保持のための予備軍としてしか見ない」。山中さんの指摘である。大げさだと笑う気にはなれない。