1974年(昭和49年)に発売された「フラワーコミックス」『ポーの一族』第1巻は、小学館の少女漫画で初の単行本で[5]、初版3万部は発売から3日で完売した。
『ポーの一族』シリーズは、西洋に伝わる吸血鬼(バンパネラ)伝説を題材にした、少年の姿のまま永遠の時を生きる運命を背負わされた吸血鬼エドガーの物語。成長の代償に失うもの、大人になれない少年の姿が描写されている。200年以上の時間が交錯する構成で、舞台は18世紀の貴族の館から20世紀のギムナジウムまでさまざまである。
萩尾は「永遠にこどもであるこどもをかきたい」との発想から[6][注 2]、石ノ森章太郎の『きりとばらとほしと』の吸血鬼の設定の一部をヒントにして『ポーの一族』の構想を思いつき[7][8][注 3][注 4][注 5]、1972年、「すきとおった銀の髪」「ポーの村」などの短編から描き始め[+ 1][+ 2]、同年8月から翌1973年(昭和48年)6月にかけて当初の構想であった3部作[+ 3](「ポーの一族」「メリーベルと銀のばら」「小鳥の巣」)を連載した[8]。1974年(昭和49年)、『トーマの心臓』連載終了後[注 6]、同年12月に「エヴァンズの遺書」でシリーズを再開、1976年(昭和51年)5月「エディス」後編で終了した。
2016年(平成28年)5月、連載終了から40年ぶりに『月刊フラワーズ』(小学館)7月号に新作「春の夢」が発表され[9]、その反響の大きさにより掲載誌が売り切れる書店が続出したため、重版されることとなった[10]。その後、同作は2017年(平成29年)1月から5月までシリーズ連載され、『このマンガがすごい! 2018』オンナ編で第2位にランクインを果たした[11]。