徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

春秋 2024年5月26日 0:00

かつて心に響く数々の思想を生み出した民族だからといって、世界の範となる政治をするとは限らない。そうとわかっていても、これには思わず心がざわついた。「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」。台湾問題をめぐる中国駐日大使の発言が波紋を広げている。

▼中国の戦国時代の思想家、墨子に「百人を殺すと、不義は百倍」(藪内清訳)という言葉がある。ところが戦争になると、とたんに不義が正義へと転じる。墨子はその不条理を鋭く批判した。「非攻」の大切さを訴えた先人のそんな教えから、大使の発言ははるか遠く。隣国をこうやって揺さぶるのがこの国の流儀なのか。

▼しかも威圧は言葉だけにとどまらない。焦点となっている台湾の周辺で、陸海空軍による大規模な軍事演習を繰り広げた。その様子を伝える映像を公開。武力を誇示しながらの脅しについて「独立分裂勢力に対する強力な懲罰だ」とこれまた居丈高なもの言いで正当化した。地域の平和をおびやかす度を越した威嚇だろう。

▼世界の秩序が流動化し、東アジアでも事態が緊迫する。だが角突き合わせているだけでは展望は開けない。老子は「世の中でもっとも柔らかいものが、世の中でもっとも堅いものを突き動かす」(蜂屋邦夫訳)と説いた。筋は通しつつ、柔軟でしたたかに。日中の首脳がまみえたとき、どんな言葉で糸口を探るのだろうか。