徒然なる儘に ・・・ ⑤

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(社説)最低賃金 引き上げの歩み継続を 社説 2024年7月27日 5時00分

 今年度の最低賃金改定の目安が厚生労働省の審議会で決まった。時給でみて一律50円の引き上げで、全国加重平均で1054円になる。それでも国際的にみれば依然水準は低く、地域間の格差も大きい。持続的な引き上げの環境を整え、さらに歩みを進めなければならない。

 審議会では、今年度も物価高の影響が最大の焦点になった。とくに生活必需品の値上がりが激しく、低い賃金で働く人たちの生活への影響が大きくなっている。「労働者の生計費」を重視し、昨年度を上回る幅で引き上げの目安を示したのは妥当な判断だ。

 ただ、物価上昇分を補ったとはいえ、実質水準の押し上げや格差是正の面では物足りなさが残る。主要国の最低賃金がフルタイム労働者の中央値の5~6割なのに対し、日本は5割に満たない。国際的な人の移動が進む現状を考えても、底上げは急務だ。

 大都市部と地方の差もなお大きい。目安通りに引き上げても時給千円以上は16都道府県にとどまる。最も低い岩手県と最も高い東京都の差は、220円のままだ。

 最終的な引き上げ額は、今後の都道府県ごとの地方審議会で決まる。昨年度は最低賃金が低い地域を中心に24県で目安を超えた。高い地域との差を縮めなければ、人材が流出してしまうとの危機感が強いためだ。今年度も同様の動きが予想されることを考えれば、目安の段階でも、低い地域の上げ幅を大きくする選択もあったのではないか。

 重要なのは、引き上げの流れを止めないことだ。中小の事業所には賃金の増加が経営を圧迫するとの声が根強くあるが、販売価格への反映を進め、働き手に報いる必要がある。そのためには、大企業と下請けの取引条件の改善が欠かせない。大企業が相応の責任を果たすよう、政府は監視態勢を強化すべきだ。

 生産性向上を後押しする補助金や税制の支援策も、十分活用され、成果につながっているのか。丁寧に検証し、運用改善につなげてほしい。

 政府は2030年代半ばまでの早い時期に、最低賃金の全国加重平均を1500円にすることをめざすという。だが、それを導いた考え方や根拠は明示されておらず、意欲的な目標ともいえない。

 労働組合の中央組織の連合は昨年、中期的には一般労働者の賃金中央値の6割の水準を目指すとの目標を掲げた。最低賃金の役割やあるべき水準をどう考えるのか。労使で議論を深め、引き上げに向けた合意を形成していくことが求められている。