徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

(社説)国際課税協力 条約結実へ努力さらに 社説 2024年8月12日 5時00分

 巨大な多国籍企業への「デジタル課税」の国際ルールづくりで、生みの苦しみが続いている。露骨な自国優先がはびこる世界で、税制の協調は数少ない前向きな動きだ。ぜひ条約として結実させたい。日本政府も決着に力を尽くすべきだ。

 2021年に約140カ国・地域が国際課税の枠組みに合意し、実現に向けた交渉が続いてきた。デジタル取引への共通の課税ルールと、法人税の最低税率導入が柱だ。

 画期的な合意の背景にあったのは、多国籍企業の課税逃れや、富の分配の世界的な不公正への危機感だ。是正に向け、国際社会が足並みをそろえる機運が高まった。

 デジタル課税では、国境をまたいで活動するIT企業の実態に合わせ、既存のルールを抜本的に見直す。「グローバル企業は、価値を生んだところで税金を払うべきだ」という考え方に基づき、サービス利用者がいる国なら、支店などの拠点がない外国企業に対しても、一定範囲で課税できるようにする。

 課税対象は世界で100社ほどになる見通しだ。高い収益を稼ぐ巨大企業に、透明性のあるやり方で課税の網をかけることは理にかなう。

 条約の最終合意と署名は、今年6月が目標だったが、遅れている。執行面で詰めるべき点が残っているという。先月には主要20カ国・地域が、租税協力の閣僚宣言を出し、迅速な妥結と早期の署名を訴えた。小異を乗り越え、大局的な妥協点を見いだす努力を関係各国に求めたい。

 カギを握るのは米国だ。多くの対象企業を抱える米国の参加が、条約発効の事実上の条件になる。だが、米議会では野党・共和党内に「米企業ねらいうちの差別的課税だ」といった反対論が強い。

 条約の締結が頓挫すれば、欧州諸国などが導入後に凍結していた独自の「デジタルサービス課税」が復活し、二重課税などの混乱が広がりかねない。米国が報復関税を発動する恐れもある。無益な争いの再燃は、避けなければならない。各国バラバラの課税より共通の仕組みの方が、企業にとっても予測しやすく、利点が大きいはずだ。

 日本は10年ほど前から、この枠組みづくりを積極的に推進してきた。今後も、実現に向けての役割は大きい。

 公正で納得感のある課税環境を整えることは、それぞれの国内のみならず、国際社会の安定にも貢献する。政府は、その意義の大きさと、失敗した時の損失を各国に粘り強く説き、橋渡し役として動いてほしい。