徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

<産経抄>北の本音はどこにある 2024/2/15 05:00

工場を視察する北朝鮮金正恩朝鮮労働党総書記(手前)=北朝鮮南東部・江原道金化郡(朝鮮中央通信=共同)

越後の片田舎に、正助という村人がいた。両親を亡くして十数年、墓参りを欠かさぬ孝行ぶりが殿様の耳に届き、褒美を下さるという。「何が望みか」「ひと目でいいから父に」。殿様は小さな箱を与え、正助に中をのぞかせた。

▼「あれまあ、とっつぁま」。古典落語『松山鏡』の一節である。村人たちは鏡を知らず、父親似の正助は箱の中の物に自分が映っているとは気づかない。文化の遅れた農村の話で、殿様がこう言い含めたのもおもしろい。「余人には見せるなよ」

▼鏡を「情報」に置き換えると、別の物語が見えてくる。仮に圧制の下で貧しさにあえぐ領民が、隣国の豊かな暮らしを知ればどうなるか。不満の矛先が殿様へ向かうのは想像に難くない。北朝鮮では脱北者らがもたらす韓国文化の情報に接した人が増え、動揺がみられるという。

▼昨年の反体制事件は3桁を数え、その多くは韓国に憧れを抱く人々が起こしたものだと、拉致被害者救う会」の西岡力会長が小紙に書いていた。先日は、3代続く権力の世襲脱北者の56%が否定的だとする調査結果を、韓国統一省が公表した。

▼何かが変わりつつあるのだろう。金正恩朝鮮労働党総書記が韓国への敵視を強めるのは焦りの表れにも見える。「第1の敵対国」「不変の主敵」と明記するよう憲法改正を指示し、南北統一の理想をうたう首都平壌の記念塔を撤去したと聞く。最近はミサイル発射の頻度も高い。

▼他方、能登半島地震では金氏が岸田文雄首相に見舞いの電報を寄せている。日本人を拉致しておきながら、行き詰まると距離を縮めてくるのはいつもの手だ。本音を見誤ってはなるまい。独裁者のありのままを映す鏡があるならば、のぞいてみたいものである。