徒然なる儘に ・・・ ⑤

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次期戦闘機、輸出解禁 政府決定 安保政策を転換 2024年3月27日 5時00分

政府は26日の国家安全保障会議(NSC)で武器輸出を制限している防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、英伊両国と国際共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出を解禁した。昨年12月に続く輸出規制の大幅緩和で、今回は「殺傷能力のある武器の最たるもの」(自民党議員)とされる戦闘機を対象とした。平和主義に基づき、武器輸出を厳しく制限してきた戦後日本の安全保障政策の大きな転換となる。

 

▼2面=「外圧」利用、

(時時刻刻)殺傷兵器輸出、また拡大 戦闘機開発、英伊の「外圧」利用

 

 日本の次期戦闘機の第三国輸出解禁は、国際共同開発国の英国、イタリアの「外圧」を利用する格好で決まった。ただし、実際の販路があるか不透明なうえ、政府・与党が主張する「歯止め」の実効性にも疑問が持たれている。▼1面参照

 次期戦闘機の第三国輸出に踏み切る理由について、木原稔防衛相は21日の国会審議で「第三国にも移転をできる仕組みを持つことで、同じ土俵に乗れる」と強調した。

 複数の日本政府関係者によれば、日本が今回、輸出解禁に踏み切ったのは、英伊両国からの「外圧」が大きい。

 英伊は共同開発国以外の第三国にも輸出できる一方、日本は縛られてきた。昨年12月、来日して木原氏と会談したシャップス英国防相は帰国後、議会で「(日本側に対し)対処する必要があると伝えた」と明らかにした。公明党が昨秋以降、輸出解禁に慎重姿勢に転じると、ある自民党議員は英国政府関係者から「公明党を何とかして欲しい」と求められたという。2月に訪日したメローニ伊首相も次期戦闘機の共同開発を「日本との戦略的協力のカギを握るプロジェクト」と強調した。

 英伊が水面下で日本に輸出解禁を求めていたのは、次期戦闘機の輸出が増えればその分だけ製造コスト抑制につながると考えているためだ。製造数を増やし、単価が下がれば、輸出もまた増える。日本にとってもメリットがある。防衛省幹部によると、日本で機体を組み立てて輸出した場合は利益の「取り分」が増える可能性があるという。

 とはいえ日本自身が英伊の「外圧」を利用した側面もある。そもそも今回の次期戦闘機の輸出解禁は、2022年末改定の国家安全保障戦略(NSS)の方針に基づくものだ。武器輸出を「我が国にとって望ましい安全保障環境の創出」などのための「重要な政策的な手段」と位置づけ、安全保障政策を遂行するうえでの重要なツールとみなしている。(田嶋慶彦、パリ=宋光祐)

 

 ■買い手は不透明

 日本政府が国産の次期戦闘機の輸出先として想定しているのが、東南アジア諸国だ。防衛省幹部は「英国がかつて中国に接近したことを良く思っていない東南アジアの国は多い」と解説。英伊よりも日本の方が信頼関係があると主張する。

 ただ、次期戦闘機は1機200億~300億円になるともされ、東南アジア諸国にとっては高性能で高価すぎる戦闘機になる可能性がある。次期戦闘機の開発に関わる企業関係者は「今はどの国が買うのかという議論が抜け落ちている状態」と明かす。

 日本の実績不足もある。戦闘機は一度輸出した後も、整備や部品の供給などが必要になる。日本は戦闘機を輸出した経験がないため、買い手が不安視し、英伊からの輸入を選ぶ可能性も指摘されている。ある防衛関連企業の幹部は、生産体制に限界があることや、民間同士では決められないことなどを挙げ、輸出は急速には広がらないとの見方を示した。

 政府は次期戦闘機の初号機を2035年に配備する方針だが、その計画も予定通りに進むかは分からない。英国のシンクタンク「国際戦略研究所」(IISS)のダグラス・バリー上級研究員は「3カ国の業界関係者も『野心的だ』と認識していると思う」と述べ、時間との厳しい戦いになるとの認識を示した。藤原学思=ロンドン、杉山歩)

 

 ■解禁次々「憲法の理念逸脱」 「歯止め」疑問 対象「追記すればいい」、閣議で決定「議会軽視」

 「これで日本から戦闘機が輸出できる。防弾チョッキとかではなく、戦闘機だよ。本当によかった」。ある防衛相経験者は興奮を抑えきれない様子で語った。

 憲法平和主義を掲げる日本は1976年に武器輸出を原則禁止としたうえで、認める場合は例外とする運用を続けた後、安倍政権下の2014年の防衛装備移転三原則の策定で一定の条件下で輸出を解禁。岸田政権は三原則の運用指針を昨年末から2回改定し、地対空ミサイル「パトリオット」や今回の次期戦闘機と、殺傷兵器の輸出解禁に相次いで踏み切った。政府は改定後も「平和国家としての基本理念を引き続き堅持する」(林芳正官房長官)と強調するが、憲法学者らからは「憲法の平和主義の理念を逸脱している」との批判が出ている。

 戦闘機の輸出解禁について、岸田文雄首相は「『三つの限定』と『二重の閣議決定』という厳格な決定プロセスを経る」と強調する。だが、「歯止め」としての実効性には疑問が持たれている。

 「三つの限定」は、(1)解禁対象は国際共同開発品全般ではなく次期戦闘機(2)輸出先は「防衛装備品・技術移転協定」などの締結国(3)武力紛争の一環として現に戦闘が行われている国には輸出しない――を指す。今回は解禁対象として運用指針に次期戦闘機だけを書き込んだが、自民からは「新しい案件を追記していけばいいだけで、何の制約もない」(小野寺五典元防衛相)との声が出る。

 輸出した武器を侵略に使わないことなどを定めた協定を日本と結んでいる国は現在、米国、英国、フランスドイツ、イタリア、スウェーデン豪州、インド、シンガポールフィリピンインドネシアマレーシアベトナム、タイ、アラブ首長国連邦(UAE)の15カ国。もともと日本は原則的に武器輸出の前提となる協定と位置づけており、特別な「限定」とはならない。締結国の数についても防衛省幹部は「今後、増える可能性がある」と話す。

 輸出時に「現に戦闘が行われている国」でなくとも、後に戦闘が発生し、戦闘機が使われる懸念も残る。仮に戦闘に使われた場合の対応について、木原稔防衛相は「部品の供給を差し止める」と述べたが、野党側は「部品に不足がなければ爆撃できる」と疑問視している。

 「二重の閣議決定」とは、(1)今回の輸出解禁(2)今後に輸出する場合の個別案件ごと――について、従来の国家安全保障会議(NSC)での決定手続きだけでなく、閣議決定を加えるというものだ。ただ、政府・与党内の決定プロセスであることに変わりはなく、「二重の『密室協議』になるだけだ」(共産党小池晃書記局長)との批判が出ている。

 米国では武器輸出管理法で武器輸出の際、米議会への報告・承認が原則必要と定めている。日本の政府・与党の対応について、常葉大の柴田晃芳教授(政治学)は「議会の重要性を軽視しており、民主主義体制として許容できない。目先の政策決定を容易に進めるため、安全保障政策で国民の合意を得る機会を捨てている」と指摘する。(田嶋慶彦)

 

4面=「安保の行方」、

 ▼1面参照

 

 日英伊3カ国は国際共同開発で、「第6世代」の戦闘機をつくろうとしている。第6世代の定義は定まっていないが、各国は「無人機との連携能力」を挙げる。有人機の行動を無人機の人工知能(AI)が学習し、有人機が敵に狙われている際に守ったり、おとりの役割をしたりする。

 日本側で開発の中核を担う三菱重工業は、国産初のジェット旅客機「スペースジェット」の開発を断念しており、単独で戦闘機をつくるには経験不足だ。英国の「BAEシステムズ」やイタリアの「レオナルド」のような経験豊富な企業を相手に、どれだけ役割を取れるかが大事だ。各企業の得手不得手があるので、背伸びするより、得意分野の仕事を取るのが得策だ。

 計画通り2035年に次期戦闘機の初号機を配備するのは無理だろう。戦闘機の開発は常に遅れがちな上、共同開発となればすり合わせに時間がかかる。

 日本は英伊以外の第三国への次期戦闘機の輸出を解禁したが、日本から買いたいと考えている国はないと思う。英伊は輸出後のサポートのノウハウを持っている。輸入国にとっては、英伊から買った方が、長年使っていく上では安心だ。

 そもそも私は輸出解禁に反対の立場だ。哲学の問題で、平和憲法の理念や精神からすれば、殺傷力のある武器を外国に売ってはいけない。

 ただ、そう言っていると、輸出を増やしたい英伊から「共同開発から出て行ってくれ」と言われかねない。共同開発をする上では、開発の相手国が何を求めているかも重要で、さまざまな問題が起きるだろう。日本が英伊に「ノー」と突っぱねられるか。何を取り何を捨てるかを決めるのが政治で、最終的には国民が選挙で意思表示するしかない。(聞き手・田嶋慶彦)

     *

 あおき・よしとも 1954年生まれ。84年に飛行機専門誌「航空ジャーナル」編集長。88年の廃刊後はフリーで活動。民間機、軍用機ともに多数の著書がある。

 

12面=社説

(社説)戦闘機の輸出解禁 国民的議論なき原則の空洞化

社説

 紛争を助長する国にはならない。日本製の武器で、人が殺されることがあってはならない――。戦後日本は平和憲法の下、そう誓って武器の輸出を厳しく自制してきた。

 殺傷兵器そのものである戦闘機の輸出解禁は、この原則を骨抜きにするものだ。敵基地攻撃能力の保有によって専守防衛を空洞化させた安保3文書の改定に続く、国民的議論なき安保政策の大転換というほかない。

 

 ■殺傷兵器、一線越える

 岸田政権が、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の、日本から第三国への輸出を認める閣議決定を行った。国際共同開発した武器を日本が直接、他国に輸出できるようにすることに対しては、与党の公明党が慎重だったが、次期戦闘機に限ることで容認に転じた。

 昨年末に、米国企業のライセンスを得て日本国内で製造された地対空ミサイル「パトリオット」の米国への輸出を可能にするなど、殺傷能力のある兵器の完成品の輸出に一部道が開かれていたが、戦闘機までとなると、完全に一線を越えたといえる。

 佐藤内閣が1967年に紛争当事国などを対象に始め、1976年の三木内閣で事実上の全面禁輸となった「武器輸出三原則」は、日本の抑制的な防衛政策の柱のひとつとして国民に受け入れられ、長年維持されてきた。

 安倍内閣が2014年に、現行の「防衛装備移転三原則」に衣替えし、一定の条件を満たせば、一部の武器を輸出できるようにした後も、殺傷兵器は厳しく制限されてきた。この10年の武器輸出緩和の流れの帰結が、今回の戦闘機容認にほかならない。

 戦闘機は先端技術の塊で、開発・生産には多額の費用がかかる。日本単独でつくるのは難しく、国際共同開発は世界の流れでもある。

 しかし、第三国に輸出するとなると話は別だ。

 

 ■なし崩し拡大の恐れ

 英国、イタリアは他の共同開発国の事前同意があれば可能なのに、日本だけが三原則を守って自らは売らないとなると、販路が限られ、量産によるコスト減を図れない。その結果、戦闘機の性能などをめぐる交渉で日本の発言力が低下する。さらには、今後の共同開発で日本がパートナーに選ばれにくくなる。政府はそう説明する。

 それぞれの国の立場を尊重したうえで、互いの力を持ち寄って協力するのが、共同開発ではないのか。平和国家としての日本の信用につながり、外交上の大きな財産になってきた原則をいま損ねることが得策だろうか。

 政府は移転三原則の運用指針を改定し、戦闘機の輸出先を日本と「防衛装備移転協定」などを結んでいる国に限るとともに、「現に戦闘が行われている国」には渡さないと明記した。

 協定の締結国は現在、米英仏独伊など15カ国あるが、中には、隣国と争いを抱えるインドやアラブ首長国連邦(UAE)も含まれる。輸出時は戦闘下になくても、将来にわたって続く保証はない。紛争を助長したり、地域の緊張を高めたりすることはないと完全には言い切れまい。

 また、岸田政権は今回、公明党の同意を得るために、対象を次期戦闘機に限定したが、なし崩しに他の共同開発品や、ひいては日本の単独開発品にまで広がる可能性は否定できない。

 安保3原則の改定を受けた武器輸出緩和の根底には、兵器の融通を通じて、同盟国や友好国との関係を強化することが、日本の外交・安保に有利に働くという考えがある。また、納入先が自衛隊に限られてきた国内の防衛産業をテコ入れするために、輸出を増やしたいという狙いもある。

 であれば、当座は次期戦闘機だけと言いながら、いずれ範囲が広がることは必至ではないか。自民党内からは早くも「新しい案件を追記していけばいいだけ」という声が漏れる。これが本音だろう。

 

 ■国会関与の仕組みを

 この重大な政策変更が、与党間の調整と、立法や法改正を伴わない閣議決定で決められたことも見過ごせない。国会など、開かれた場での徹底した議論抜きに決まった安保3文書の改定と同じ構図だ。

 報道各社の世論調査では、戦闘機輸出への賛否は、ほぼ2分されている。国民の幅広い同意には、ほど遠いことが明らかである。

 政府は、実際に輸出する際は、個別の案件ごとに閣議で決めるとし、「厳格なプロセス」をアピールする。ただ、閣議決定の前に与党の同意を得る手続きが求められるだけで、国民的議論が保証されたわけではない。歯止めとして機能するとは思えない。

 武器輸出大国の米国では、その都度、議会に報告し、承認を得るのが原則となっている。岸田首相は先の参院予算委員会で「国の安全保障に関わる課題は、国民の理解を得ながら進めていくことが大変重要だ」と述べた。その認識が本当なら、最低限、日本でも国会が関与する仕組みを導入すべきだ。

 次期戦闘機は日本にとってF2戦闘機の後継にあたり、2035年の配備が計画されている。日本が今回、第三国への輸出解禁に踏み切ったのは、英伊両国と歩調を合わせて輸出を通じた量産化に貢献し、両国に対し戦闘機開発をめぐる交渉力を担保するためだ。

 政府・自民党は元々、次期戦闘機を含む国際共同開発品の完成品すべての輸出解禁を目指していた。だが、公明党との協議を踏まえ、対象を次期戦闘機に限定し、国際共同開発品全般とすることは見送った。輸出先は日本と「防衛装備品・技術移転協定」などの締結国とし、現状では米国やフィリピンインドネシアシンガポールなど15カ国となる。「現に戦闘が行われていると判断される国」も除外した。

 政府はこの日の指針改定に先立つ閣議決定で、実際に次期戦闘機を輸出する場合、現状の運用手続きであるNSC決定のみならず、個別案件ごとに閣議決定することを定めた。公明は政府のこうした措置を「歯止め」とみなし、「意思決定のプロセス厳格化」(公明党高木陽介政調会長)と評価。しかし、実際には政策を実行する主体である政府が、自分たちの内部手続きを取るに過ぎず、識者から武器輸出に関し、米国並みの国会関与の仕組みを設けるべきだとの意見も出ている。

 政府は昨年12月も武器輸出規制を大幅緩和。他国企業の許可を得て国内で製造する「ライセンス生産品」について、殺傷能力のある武器も含めライセンス元国への輸出を解禁し、地対空ミサイル「パトリオット」を米国に輸出する方針を決めた。ただ、国際共同開発品の完成品の輸出には公明が慎重姿勢を示したため、2月から政調会長間の協議を開始。3月中旬、自公は次期戦闘機の輸出解禁を合意した。(田嶋慶彦)