徒然なる儘に ・・・ ⑤

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(学童保育はいま:上)放課後、すし詰めの子どもたち 2024年4月16日 5時00分

 共働き家庭の小学生らを放課後などに預かる放課後児童クラブ(学童保育)。新年度を迎えて新たに利用し始めた人も多い。子どもが安心して過ごせる「放課後の居場所」の需要は高まっているが、大規模化した一部の施設では子どもたちがすし詰めで、疲弊した職員からも悲鳴があがる。(平井恵美)

 ■80人に職員3人、厳しい態勢「心折れそう」

 「子どもがあふれていて、トラブルや事故が起きないように見張るのが精いっぱい。監視に近い状態で過ごす子どもたちがかわいそうです」

 東日本のある都市で、放課後児童支援員として働く男性(45)はこう話す。自治体が小学校の敷地内に開設した学童保育に勤務する。平日は午後2時ごろから子どもたちが続々とやって来る。

 共働き家庭の増加で利用登録している児童は80人近くまで増え、「ロッカーや机は足りず、全員来たら困る状態」という。男性を含む3人の職員が世話にあたるが、けんかっ早い子や発達障害を抱える子ら手厚い支援が必要な児童もいて、全員に目が行き届かない。

 目を離した一瞬の隙に、子どもどうしのトラブルで大けがを負った子もいた。「本当はもっと深く関わって、全力で遊んであげたい。思いを全て受け止めてあげたいと思いますが、いまの劣悪な環境では不可能です」

 学童保育で働き始めたのは2年前。自治体から運営を受託する社会福祉協議会に嘱託職員として採用された。平日は1日6時間働いて給料は手取りで約15万円。学校の長期休みには1日8時間勤務になるが給料は変わらず、生活は楽ではない。

 子どもの笑顔や成長を目の当たりにし、仕事にやりがいを感じる時もある。だが、すし詰め状態の子どもたちと恒常的な人手不足、事務局からの理不尽な要求に心が折れそうになるという。

 「子どもに寄り添い、ともに成長をめざしてできる限りの支援はしていますが、いまの厳しい状況がいつまで続くのか不安でいっぱいです。毎日気が休まらず、月に1回は『辞めようかな』と悩んでいます」

 

 ■大規模化の弊害、質に懸念 基準超えの施設、4割

 共働き家庭の増加で学童保育の希望者は都市部を中心に増え続け、こども家庭庁の調査によると全国の登録児童数は昨年5月1日現在で約145万7千人と過去最高だった。待機児童数も1万6276人にのぼる。

 国は待機児童解消のため昨年末に新たな対策を発表し、遅くとも2026年度をめどに152万人分の受け皿を確保する方針だ。一方、狭い空間に多くの子どもが詰め込まれ、重大事故も相次ぐなど質の低下も大きな課題だ。

 学童保育で働く職員らが入る労働組合「建交労全国学童保育部会」には、「トイレが一つで毎日長い行列ができる」「発熱した子を休ませる場所がない」「1部屋に100人を超える子どもたち。あまりのうるささに廊下やトイレの前でおやつを食べる子もいる」といった声が寄せられているという。

 厚生労働省は14年、質確保のために省令で学童保育の設備運営基準を定めた。預かる子どもの人数は支援の単位(1クラス)につき「おおむね40人以下」とし、子ども1人当たりの面積を「おおむね1・65平方メートル以上」確保するよう求める。

 しかし、国の基準に法的拘束力はなく、各自治体はこれを参考に最低基準となる条例を制定。施設によって運営や料金形態、利用条件、活動内容などにばらつきがあるのが実態で、希望者全員を受け入れる施設には子どもがすし詰め状態のところもある。

 こども家庭庁によると登録児童数が国の基準の40人を超えるクラスは、昨年5月1日現在で全体の約4割を占める約1万5千クラス存在する。保護者と職員でつくる全国学童保育連絡協議会の佐藤愛子・事務局次長は「子どもたちも騒々しい環境で落ち着けず、集団規模が大きくなると一斉活動が中心になって遊びや活動を制限せざるを得ない。職員も子どもの声や気持ちをくみ取ることが難しく、保育内容、ひいては生活の質に直結する」と大規模化の弊害を指摘し、30人を上限として規模を縮小する必要性を訴えている。

 

 ◆キーワード

 <放課後児童クラブ(学童保育)> 親が仕事などで留守の小学生を、放課後などに学校の余裕教室(普通教室として当面使う見込みのない教室)や児童館などで預かる事業。1998年施行の改正児童福祉法で法制化された。ただし、事業の実施は自治体の努力義務。自治体が設置して民間が運営する「公立民営」が全体の約5割を占める。