徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

東京新聞 8月6日 (日) 《筆洗》

ギリシャ神話のミノタウルスは牛頭人身の怪物で、その凶暴さを恐れるミノス王によって回廊が複雑に入り組んだ迷宮に閉じ込められた

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▼迷宮の設計図は王の命令で完全に焼き捨てられた。怪物が二度とこの世に姿を現さぬようにとである

 

 

▼八月六日となった。一九四五年の広島原爆投下の日に思うのは核兵器という無慈悲な怪物である。それを閉じ込めている迷宮のことを想像してみる。もどかしく、恐ろしくなるのは核兵器を閉じ込めているはずの迷宮のもろさである

 

▼世界を見る。核兵器の開発を進める国がある。核兵器の廃絶を拒む国がある。核兵器の使用をほのめかす国がある。ミノタウルスの迷宮とは異なり、突破しやすい迷宮から核兵器という怪物が人類の前に再び姿を現しても不思議ではなかろう▼

 

それでもである。広島、長崎以降、七十八年間、人類は核兵器を実戦で使用していないという事実がある。核兵器の使用を踏みとどまろうとする、人類の意思と良心を信じる。この七十八年を百年、二百年と延ばしていくことが怪物を手に入れた人類の責務である

 

 

▼「八月は死者を想い起こす月である」と、作家の半藤一利さんは書いた。六日広島、九日長崎。死者を想い起こし、死と慟哭(どうこく)の記憶をとどめ続ける。迷宮に近づく者には決して許さぬと声を上げる。その態度は怪物を封印している迷宮を必ずや堅固にする。