野球が米国で考案された19世紀半ば、勝敗の決め方は現在と異なり、21点を先取した方が勝者となるルールだった。試合後はパーティーが開かれ、選手が親睦を深める。ところが、この方式では試合がいつ終わるかが読みづらく、料理を用意するコックから不満が出た
▲このため、9回終了時の得点で勝敗を決める規則に変更された。
1857年のことだ。なぜ9回かといえば、キリスト教の教義「三位一体」に由来するとの説がある。父(神)と子(イエス・キリスト)と聖霊は一つという教えだ。
これに基づいて「3」という数字が尊ばれ、野球には三振、3アウト、9人など3の倍数が多いとされる
▲日本の高校野球では酷暑下の大会運営や投手の負担軽減を考慮し、9回を7回にする案の検討が始まった。18歳以下の国際大会などでは既に7回制が導入されている
▲他の競技でも時間を短縮する動きが目に付く。スペインでは前後半各20分で戦う7人制サッカーの「キングスリーグ」が発足した。11人制における45分ずつの方式では、観客や視聴者が退屈するという発想だ。今年はワールドカップが開催され、日本も参加した
▲パリ五輪が終わり、4年後のロサンゼルスでは英国発祥のクリケットが実施される。元々はティータイムをはさんで4~5日かけて行うスポーツだ。だが、五輪では約3時間に収まる規則が採用される
▲時間対効果を意味する「タイムパフォーマンス」が重視される時代だ。スポーツも変化を迫られている。
※毎日新聞社 支持政党