徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

春秋(8月15日)2024年8月15日 0:00 [会員限定記事]

「唐突」という言葉が似合う人である。昨年、定額減税を決めたときもそうだった。この夏には、電気・ガス料金の補助をいきなり打ち出して物議をかもした。先日は、憲法9条改正の議論を加速するよう自民党側に指示を出した。支持率ずっと低迷の岸田首相である。

▼そのたびに、人気取りのバラマキとか保守派へのアピールとか言われても意に介するふうはなし。着々と布石を打っているように見えた岸田さんだった。それがどういう心境の変化か。きのう、やはり唐突ぶりを発揮して、総裁選不出馬を表明した。お盆休みで都心に人影も少なく、終戦記念日を前にした空白の夏の日だ。

▼「自民党が変わったことを示す第一歩は私自身が身を引くことだ」。悲壮な決意である。会見では「政治家としての意地」なる感情的なセリフも口にした。なるほど、しかし裏ではいろいろあったのでは……といぶかるのが世間というものだろう。鎮魂の8月にはいささか場違いな権力者たちのうごめきが、透けて見える。

▼ともあれ岸田さん、これでだいぶ気は楽になるかもしれない。戦後79年。きょうは全国戦没者追悼式に臨むはずだが、せっかくだから最後に、広島出身の政治家として存分に平和への思いを語ったらいかがだろう。昨年の式辞は660字のほとんどが、一言一句、前年と同じだった。「唐突」の使いどころは残っていよう。