入門から1年もたたず、まげも結えない力士が、真っ向勝負で大相撲初場所を沸かせました。新入幕で11勝を挙げ敢闘賞を手にした大の里関。石川県津幡町の出身です
▼「能登は海がきれいで、魚もおいしく、景色もいい」。
自然豊かでおだやかな風景が元日に一変しました。能登半島地震で家がつぶれ、道路が陥没し、電柱が傾く。実家も被災し、家族は避難所生活を余儀なくされました。
「すごく悲しい気持ち。初場所で自分が頑張って、いい姿を見せるのが一番」。
苦難にある地元石川への思いを土俵にぶつけました
▼震災から1カ月余。スポーツ選手が支援の思いを形にしています。プロ野球のキャンプでは寄付を募り、サッカー・アジア杯では、選手が「被災地に力を」との横断幕を掲げピッチを歩きました
▼仙台市出身の卓球・張本智和選手は、「私自身も東日本大震災で被災経験があるからこそ、とても胸が痛い」。すぐ100万円を寄付しています
▼震災で明日をも見えない被災者に何ができるのかはわかりません。ただ選手が日々体感しているのは、応援でどれだけ勇気をもらえてきたか。今度はそれをお返しする番です。巨人やヤンキースでプレーした石川県出身の松井秀喜さんは、
「今度は…被災された方々が力強く立ち上がり前を向かれていく姿を応援しなくては」
▼大の里関の活躍で「被災者が元気をもらった」。地元紙が伝えています。困難に立ち向かう姿に、自らを深く重ね合わせる人々へ。選手の熱きエールは続きます