徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

(天声人語)閏日に思うこと 2024年2月29日 5時00分

 8歳だけど、まだ2歳だね。作家の辻村深月さんは小学生のころ、学校の先生から、そう言われたことがあるそうだ。誕生日は2月29日。当時は、閏年(うるうどし)の意味もよく分からなかったが、「私はまだ2歳なんだ」と何だかうれしい気持ちになったという

 

▼4年に1度しかない誕生日だけど、「実はお得な日なのかもしれない」。朝日小学生新聞への寄稿で、辻村さんは書いている。友だちもすぐに日にちを覚えてくれたし、「生まれ変わってもまたこの誕生日がいいです」

 

▼きょうは閏日。人間のつくった1年の長さと、太陽や地球が織りなす時の流れは異なっている。地球も真ん丸ではなく、天体の運動にはゆらぎがある。それらを合わせ、何とか同じにする調整の日だ

 

▼かつては閏月というのもあった。夜空に浮かぶ月が完全に見えなくなる新月の瞬間を、古人は「朔(さく)」と表した。朔から朔までを朔望月(さくぼうげつ)と呼ぶ。これを12回、354日で1年とし、閏月を時々入れたのが太陰太陽暦である

 

▼自然はゆらいでいるのに、人はひたすら、ゆらぎなき時間を探求してきた。ガリレオが振り子の原理に気づいたのは16世紀のこと。日時計が振り子の時計に代わり、クオーツも経て、いまや光格子時計が最も“正確”な時刻を告げる

 

▼いったい時とは何なのだろう。宇宙の深淵(しんえん)に思考を飛ばせば、あまりにちっぽけな自分の存在が怖くなる。うつろいに寂寥(せきりょう)を覚え、消えゆくものへの思いに胸を震わす。〈寂しくて四つ足となる閏年〉稲葉百穂。