自民党の麻生太郎副総裁の「公明党発言」が波紋を広げている。昨年末に閣議決定した安全保障関連3文書への対応について、麻生氏は先日、公明党の山口那津男代表らを「がんだった」と公然と批判したが、この発言を撤回しない意向という。自民党と公明党は東京での選挙協力をめぐり、一触即発の緊張状態になったばかり。麻生氏の狙いは何なのか。公明党は黙っているのか。
「公明党が頑として(安保3文書に)反対だったのは間違いない。『がん』という言い方が不適切なら、名前を挙げた3人と(公明党の支持母体の)創価学会が反対し、問題だったという意図だ」
麻生氏は26日、共同通信の取材にこう語ったという。
問題の発言は、麻生氏が24日、福岡市での講演で発したものだ。北朝鮮の相次ぐミサイル発射などを受け、自民党は安保3文書に含まれる反撃能力保有の必要性を説いたが、公明党が専守防衛に反すると主張していたと指摘し、次のように語った。
「公明党は一番動かなかった、がんだった山口那津男代表、石井啓一幹事長、北側一雄副代表ら一番上の人たち。その裏にいる創価学会も含めて、納得するというかたちになった」
言葉は荒っぽいが、自民党が「ウクライナみたいに日本が戦場になる」と説得したことで、公明党側と同意したことを披露したものだ。
この発言に対し、公明党の山口那津男代表は26日、「麻生氏がどういう意図で話したか分からず、評価は控えたい」と論評を避けている。
両党間には少し前、ひと悶着があった。
公明党は5月、衆院選挙区「10増10減」に伴う候補者調整のもつれから、自民党に対して「東京での選挙協力解消」を通告した。岸田文雄首相(党総裁)は、自公の関係悪化を重く見て、山口氏に選挙協力の復活を打診、8月末の党首会談で大筋合意したばかりだ。