徒然なる儘に ・・・ ⑤

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(憲法を考える)国会・憲法、軽んじる政権 「熟議の場」予算通過に利用 「改憲」異例の言及 2024年5月3日 5時00分

 〈憲法前文 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。〉

 〈41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。〉

 政権運営の都合のために、国会を利用したり、熟議を避けたり。そんな振る舞いが、岸田文雄首相をはじめ近年の自民党政権で目立つ。憲法が「国権の最高機関」と定める国会を軽んじることは、主権者の国民の意思を軽視することになる。施行77年を迎えた日本国憲法から考える。

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 自民議員らが起こした裏金事件。首相は衆院政治倫理審査会(政倫審)に「総裁として説明責任を果たしたい」と異例の申し出をして、2月29日に出席した。

 そこで立憲民主党は、3月6日の参院予算委員会で首相に対し、衆院政倫審での説明が不十分だとして参院政倫審にも参考人として出席するよう求めた。だが、首相は「知る限りの事実を国会でも申し上げてきた」と拒んだ。

 なぜ衆院のみの出席だったのか。周辺がその真意を明かす。

 「政府予算の年度内成立が狙いだった」

 内閣と与党は新年度予算を3月末までに成立させるため、3月初めまでに衆院を通過させようとする。参院で30日以内に結論が出なければそのまま成立という憲法の規定があるためだ。公開での政倫審出席に難色を示す安倍派幹部らの影響で、予算審議日程は窮屈になっていた。

 野党は裏金事件で国会での証人喚問や参考人招致を強く求めていた。予算案の年度内成立が確定せず参院で審議に入っていたら「受けざるを得なかった」(官邸関係者)。予算案の年度内成立が見通せなくなれば、政権は更なる危機にさらされる。そのため首相は自ら呼び水となって衆院政倫審に出席した。国民の代表者に説明する場である国会を、予算案通過のための舞台まわしに使った形だ。

 こうした姿勢は憲法改正でもみられる。首相は1月末の施政方針演説で「(自民総裁の)任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、最大限努力したい」とし、「党派を超えた議論を加速」すると語った。

 憲法が国会による発議を定める改憲について、首相が期限に国会で言及するのは異例。だが、9月末の総裁任期切れに向け動きは見られない。

 4月11日の衆院憲法審査会では、改憲に慎重な立憲民主党逢坂誠二・野党筆頭幹事が「憲法を変えること自体が目的化している」と指摘。改憲派からも「本気度は疑わざるを得ない」(日本維新の会馬場伸幸代表)、「パフォーマンスにしか見えない」(国民民主党玉木雄一郎代表)といった批判が続いた。「右派をつなぎとめて政権基盤を安定させるために言っている」との見方が、与党内からも出ている。

 首相は4月中旬に米議会を訪れ、演説で「日本の国会でこれほど素敵な拍手を受けることはない」と笑顔で語った。衆院本会議で訪米報告をした首相を前に、立憲の源馬謙太郎氏は指摘した。

 「拍手されない理由は首相自身にあるのではないか。多くの問題に真摯(しんし)に向き合わない自分の問題をジョークに変えて矮小(わいしょう)化する姿勢に、強い違和感を感じます」

 

 ■自民「1強」下で拍車 閣議決定多用や予備費乱用

 憲法は前文で「国民主権」を掲げるが、国会の多数派から首相が選ばれる日本の議院内閣制は、内閣と与党が一体化し、形骸化させる危うさをはらむ。そうした傾向は2012年に自民が政権に戻り「1強」が続く中であらわになった。

 その一つが国会審議を経ない「閣議決定」。本来熟議が求められる重要課題で多用されている。

 例えば、岸田内閣による敵基地攻撃能力の保有を打ち出した安保3文書の改定(22年)や次期戦闘機の第三国輸出方針(24年)だ。いずれも従来の政策を大転換した。また、安倍晋三元首相の国葬(22年)や、国会答弁で積み上げてきた憲法解釈の変更による安倍内閣での集団的自衛権の行使容認(14年)などは、国会の議論を通じてコンセンサスを得る作業を経なかったことで、世論の分断を招いた。

 やはり国会審議を経ずにすむ政省令を利用するやり方もある。法律の細部を政府に委ねるもので、カジノ実施法(18年)は制定後、331項目が託された。岸田内閣提出の経済安全保障推進法(22年)や改正マイナンバー法(23年)、審議中のセキュリティーリアランス(適性評価)制度導入法案でもみられる。

 また、関係する複数の法案を束ねて出す手法も多用されている。安全保障法制(15年)や検察庁法改正案(20年)などでみられた。個別法案の具体的な論点について、十分な審議時間が確保できないなどの問題がある。

 内閣が提出する予算案でも同様だ。憲法は83条から91条の財政の章で、予算や借金などが国会の議決に基づくよう定める。この財政民主主義にとって問題なのが、国会を通さず具体的使途を決められる「予備費」の乱用だ。菅義偉内閣ではコロナ禍の影響で20年度に10兆円も計上した。

 

 ■「言論の府」毀損する答弁も

 「言論の府」である国会を毀損(きそん)したのが、事実と異なる答弁の連発だ。安倍政権は17~18年に「森友学園」問題で139回行い、「廃棄した」とした記録もあった。「桜を見る会」の問題では、安倍首相本人が19~20年に118回行い、退任後に「国会の信頼を傷つけた」と衆院で謝罪した。

 説明放棄もある。安倍氏は17年、憲法記念日に打ち出した改憲について野党に問われ、「相当詳しく読売新聞に書いてある。ぜひ熟読して」と語った。菅氏は20年の臨時国会で、日本学術会議の推薦候補任命拒否などをめぐり、衆参予算委など10日間の質疑で答弁を100回以上拒んだ。

 53条に基づく野党の臨時国会召集要求になかなか応じないなど、憲法自体を軽んじる振る舞いもある。17年には安倍内閣が「期日について(憲法に)規定はない」として約3カ月間放置し、召集直後に衆院を解散した。

 

 ■「安倍さんの頃から空洞化」

 自民党政権の国会軽視について、その前の民主党政権で首相を務めた野田佳彦氏は「安倍さんの頃から、強引に押し切り、空洞化してきている」と指摘する。特に14年の「アベノミクス解散」を挙げ、「あの辺から首相独断で物事が進んできた」と危ぶむ。

 野田内閣当時は参院で与党が過半数を割る「ねじれ国会」。「立場を超えて合意できる政治を作り出したかった」と、社会保障のための消費増税を野党の自公両党と協議を重ね、12年に合意した。だが、当事者でなかった安倍首相が14年にアベノミクスの継続を訴えて衆院を解散し、大勝。増税が先送りにされた。

 答弁を避ける場面も頻発している。野田氏は「安倍氏は思いきったはぐらかし、岸田氏は丁寧なはぐらかし」だとし、「政府が基本情報を国会で共有しないとフェアな議論にならない」と批判。「国会は民主主義の学校だ。議論の中身がつまらなかったら国民は背を向ける」と危惧する。(小木雄太、大久保貴裕、国吉美香、西村圭史、編集委員藤田直央

 

 ■<考論>議論避ける動き、憲法精神に反する 赤坂幸一・九州大教授憲法学)

 憲法が定める間接民主制が機能するには、国民の代表が自由な選挙で選ばれるだけでなく、国会で少数派の立場を尊重し、議論を尽くした上での多数決でなければならない。公開の場で多数派の論拠が示され、少数派の批判を受けることが重要だからだ。

 また、行政の役割増大に伴い、憲法学では1980年代以降、国会の役割として立法に加え内閣に対する統制に着目している。内閣と与党が一体化する議院内閣制では、国会で野党の批判を避けるため、審議を簡単に済ませ、内閣や各省庁で物事を決める誘因が働きがちになる。それを批判するためにも、少数派の野党が尊重されるべきだ。

 近年の自民党政権には、国政上の判断について国会できちんと理由を示さない姿勢が目立つ。また、少数派を尊重する憲法の規定には、衆院参院の4分の1以上の議員が求めれば内閣は臨時国会を召集すべしという53条があるが、野党の求めに応じていない。

 国会は、国民の代表が活発に議論し国民に選択肢や情報を提供する政治のフォーラム(広場)だ。議論を避けようとする内閣・与党の動きは憲法の精神に反する。

 

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