自民党が4日、党紀委員会を開き、派閥パーティー収入不記載事件について、安倍派と二階派の国会議員ら39人の処分を決めた。
真相の解明が不十分で、東京地検特捜部の捜査終結後約2カ月半がたってようやく処分したことになる。
安倍派幹部をめぐっては、座長を務めた塩谷立元文部科学相と参院安倍派会長だった世耕弘成前参院幹事長を2番目に重い離党勧告とした。ほかは党員資格停止、党の役職停止、戒告となった。
塩谷、世耕両氏ら派閥幹部は不記載に関し「知らなかった」などと釈明していたが、還流を止められる立場にいた以上、処分は当然だ。
理解に苦しむのは、岸田文雄首相(党総裁)と二階俊博元幹事長を処分対象から外したことである。
岸田派の元会計責任者は立件されている。首相も処分対象にならなければ筋が通らない。首相は4日夜、政治不信を招いたことを謝罪したが、自らを処分するとは言わず、政治改革を進める考えを示した。これだけでけじめになるのか。
二階氏については、次期衆院選への不出馬表明で政治的責任を取ったと執行部は判断したが、自らの表明と党の処分は区別すべきである。
真相の解明が進んでいないのも問題だ。還流資金を政治資金収支報告書に記載しない慣行に関し、いつ誰が、どのような理由で始めたのかや、安倍晋三元首相の意向で還流中止を決め、その後復活させた経緯などは、いまだに分かっていない。
これでは処分を決めても国民は納得しないだろう。首相や党は引き続き実態の究明に力を尽くすべきだ。噓の証言をしたら偽証罪に問われる証人喚問も検討してはどうか。