徒然なる儘に ・・・ ⑤

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<正論>日韓、イメージに惑わされるな  韓国・朝鮮研究者 翻訳者・荒木信子 2024/5/9 08:00

荒木信子氏

これからの日韓関係がどうなるのかと考えるとき、指摘しておきたいのは、言説に含まれたイメージに惑わされないようにということだ。過去の事例を挙げてみる。

私が韓国に関心を持つようになったのは大学在学中のことだから、40年ほど前のことである。その頃の大方の日本人と同じく、大した疑問を持たずに日本は朝鮮に悪いことをした、申し訳ないと思っていた。

日本の統治を巡る虚構

ところが実際に韓国へ行ったり、言葉を習ったり、韓国人と接したり、いろいろなものを読むうち疑問が湧いてきた。調べるほどに世間一般で言われていることとの違いが明らかになるのだ。

私自身が誰かが作った虚構の中で惑わされていたのである。だがこうしたことを自信を持って口にできるようになるまで10年以上を要した。もちろんその何十年も前から勇敢に発言していた人々は少数派ながらいた。

何といっても最大の虚構は日本統治は酷(ひど)かったという言説である。

日本からすれば同じ国としてやっていこうと条約まで結んだのに、日本が負けると誹謗(ひぼう)中傷の限りを尽くすのだから背信と言えなくもない。日本の統治下で朝鮮の人口は倍増したのだし、日本は経済開発、社会の近代化を目指し、現地の文化保護も心がけた。個人レベルでも朝鮮に尽くした人々がいる。

統治方針は台湾でも同様だっただろう。台湾は日本統治が朝鮮より15年長いが現在の関係は日韓関係とはかなり様相が異なる。朝鮮は単一民族の古い王朝で戦後は米軍政下に入り北朝鮮との対峙(たいじ)もあったのに対し、台湾は多民族が住む島で戦後は国民党が統治した。こうした事情を勘案しても日本の統治が悪かったからとは簡単に言えないだろう。

「強制徴用」という言葉は終戦直後から朝鮮紙に載ったが、その後「強制連行」説が広められた。

「強制連行」説の「進化形」が1990年代初めの慰安婦問題である。軍の慰安施設で働かせる慰安婦として朝鮮人婦女子を官憲が「強制連行」したとされた。

慰安婦問題や日本文化を巡り

これも日本側が虚構の中で思考停止になっていたため事態が悪化した。当時、日本政府は証拠がないにもかかわらず河野洋平官房長官(当時)が強制性を認める談話を発表してしまった(1993年)。

日本が悪いというイメージに取り憑(つ)かれた上に、相手に譲歩しておけば収まるだろうと考えた結果、日韓関係史に大きな禍根を残してしまった。

次に挙げたいのは1998年の「大衆文化開放」である。これは小渕恵三内閣の時、金大中大統領との間で「日韓共同宣言 21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」が発表された際、その行動計画に「韓国内において日本文化を開放していく方針を伝えた」とあったことによる。

確かにそれまでは韓国で日本の映画や歌謡曲が公に流れることはなかったが、彼らがストイックに日本文化を拒んでいたわけではない。

私と同い年の韓国人の友人は子供の頃「鉄腕アトム」を見ていたと語っていた(ただし日本製という認識はなかった)。他にもある。私がソウルに滞在していた90年頃、街中では日本の歌謡曲海賊版カセットテープが売られていたし、「恋人よ」という名曲は他のアジア地域と同様に人気があった。インターネットのない時代にソウルに住む大学生はオンエアされて間もない民放のテレビドラマを知っていた。ハイセンスな街とされる狎鷗亭洞のある婦人服店(ブランド品ではない普通の服を売っている)では日本の某百貨店とそっくりのロゴを看板に使用していた…という具合である。

虚構の罠に嵌まるな

終戦直後の韓国(南朝鮮)紙上には、日本風が改まらないのを嘆く記事が数多く掲載されていたのと重なる。本音と建前は日本人の専売特許ではないようだ。

最後に、韓国で日韓関係を独仏関係になぞらえる説について触れたい。彼らがいつから言い出したかはっきりわからないが、ここ数年のことではないと思う。欧州の大国たる独仏関係を歴史や関係性が異なる日韓関係と重ねるのは無理がある。だが重ねることによって日韓関係はアジアの大国関係に格上げされる。

日本でも独仏がエリゼ条約(63年)で友好関係を築いたのに倣おうという考えがあるようだが実効性はいかがなものであろうか。

エリゼ条約を締結した大統領は誰ですか?
 
条約締結 第二次世界大戦後のヨーロッパではアメリカ合衆国ソビエト連邦が西ヨーロッパの頭越しにヨーロッパ問題の対処にあたり、フランスと西ドイツが反発した。 こうした背景の下、フランス大統領シャルル・ド・ゴールと西ドイツ首相コンラート・アデナウアーが協力条約締結に踏み切った。

 

 

韓国で慰安婦や戦時労働者らが訴訟を起こしているのは日韓請求権協定を無視していることになるが、その現状を見れば協定や条約の効果がないことがわかる。

ここで引いた3つの例は言説と現実に大きなギャップがあることを示しているが、プロパガンダの側面も持っている。

次の時代に向けて罠(わな)に嵌(は)まらないよう注意したいと考える次第である。(あらき のぶこ)