17日の小欄は、木原稔防衛相の靖国神社参拝に関する朝日新聞の「日韓関係に冷や水も」との記事に疑問を示し、「(参拝に)何の問題があろうか」と書いた。すると朝日はさらに、米国務省報道担当者のコメントを取り「防衛相の靖国参拝『後ろ向き』」との記事を掲載していた。よほど日韓関係に影響を及ぼしたいらしい。
▼記事は当局者が「参拝は後ろ向きに見える」と指摘したと記すが、その認識は正しいのか。米国人は国務省高官といえども「日本と韓国が、戦争をしていないことを知らない」(外務省事務次官経験者)者が多い。日韓併合は戦争の結果ではなく本来、参拝は韓国とかかわりはない。
▼安倍晋三元首相もオバマ米大統領当時、バイデン副大統領は、韓国にとり慰安婦問題よりも靖国参拝問題が重要だと勘違いしていると指摘していた。そんな米側の誤解を正すのではなく、そそのかしてどうするのか。日米韓のどの国の利益にもならない。
▼朝日もずっと靖国神社に否定的だったわけではない。例えば昭和26年10月7日の朝刊紙面では、東京裁判の国際検事団付として来日した米青年、リード氏が帰国後も絶えず日本の友人に身代わりで靖国参拝をしてもらい、奉納金も送っていることを大きく取り上げている。
▼「靖国神社にねむる〝みたま〟たちの大きな犠牲が忘れられるなら、それは日本の悲劇だ」「日本の皆さん、どうか〝みたま〟へ祈りを」。朝日が紹介したリード氏の言葉である。匿名の国務省報道担当者の曖昧なセリフより、よほど真情が伝わる。
▼靖国参拝問題も慰安婦問題も、日本側が批判してくれとばかりに外国に「ご注進」したことで騒動となった。このパターンはここらで終わりにしたい。