法律や条例の必要性や正当性を根拠付けるデータなどを「立法事実」という。耳慣れない言葉だが、立法府である国会ではよく飛び交う。24日の衆院政治改革特別委員会では自民党の山下貴司氏が、政治資金パーティー開催禁止法案を提出した立憲民主党側にただしていた。
▼山下氏は立民の岡田克也幹事長が20年以上にわたり政治資金パーティーを開き、総額18億円以上の収入を得ていることを指摘したうえで、こう問うたのだった。「売り先との癒着や賄賂性など、禁止すべき立法事実があったということか」。確かにそうした問題がなければ、パーティーを禁止する理由がない。
▼立民では、大串博志選対委員長が6月17日にパーティーを開くことを予定している。「法律が通ったらやらない」と述べているが、不成立を前提としているとしか思えない。山下氏は4月25日に安住淳国対委員長が会費2万円の朝食会を開催し、今月27日には岡田氏がやはり会費2万円の昼食会を催す予定であることも紹介した。
▼朝食会、昼食会も実質的にパーティーと同じ政治資金集めの場である。一方でパーティー禁止を求めておきながら、なぜこんな矛盾した振る舞いをするのか。自民の長尾たかし前衆院議員が月刊『Hanada』4月号に赤裸々に記していた。「私的流用するほど事務所経費に余裕はありませんでした」
▼事務所運営費、秘書給与、固定費の補塡(ほてん)、交通費、会合費…など事務所経費は火の車で、長尾氏の持ち出し分は1千数百万円以上だという。こんな現状を放置してパーティーだけ禁じても、別の金策手段を探るしかない
▼本当に禁止すべきは外国勢力から干渉、影響を受けかねない外国人によるパーティー券購入である。