徒然なる儘に ・・・ ⑤

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

<産経抄>悪事と隣り合わせ、生成AIの誘惑 2024/5/30 05:00

生成AIを悪用したコンピューターウイルス作成事件で押収されたパソコンなど=警視庁四谷署

<竹馬(たけうま)やいろはにほへとちりぢりに>。一緒に「いろは」を習った竹馬の友も、やがて大人になって散り散りに―。十七字ににじむ感傷が、長く尾を引いて胸の底に響く。明治生まれの文人久保田万太郎の知られた一句である。

 

 

ja.wikipedia.org

 

 

 

 

▼小説に戯曲に〝七色の筆〟を振るった万太郎は、あまたの名吟を残しながらも俳句を「余技」と位置づけていた。どこまでが本業で、どこからが余技なのか、文壇の作法に疎い身は知る由もない。辞書にある「余技(=素人芸)」の意味を、覆した文士であることは確かだろう。

▼いまは、素人と玄人の境目をあいまいにする七色の筆が簡単に手に入る時代らしい。生成AI(人工知能)である。プログラミングの知識がなくても、ネット上に公開された複数の生成AIを利用すれば、コンピューターウイルスを作れると聞く。

▼IT技術に関する職歴はなく、専門的な教育を受けたこともない。そんな男が暗号資産などを不正に要求する「ランサムウエア」を作ったとして逮捕された。「AIに聞けば何でもできると思った」。そう供述したという。少し前までなら、素人芸ではできない相談だったろう。

▼犯罪利用という素人の発想をプロの手口に高めかねない危うい利器だ。使い手の良識に委ねるだけでは対策になるまい。万太郎の句をもう一つ。<なにがうそでなにがほんとの寒さかな>。何が虚で何が実か、現代の当惑を予見したようでもある。

▼実社会と電脳空間を行き来する中で、人は実体のない世界にも体重の一部を預けている。七色の筆の誘惑は指呼の間にあり、少しでも警戒を緩めれば、犯罪の世界に引き込まれかねない。まずは常識と節度で、われわれと悪事を隔てる境界線を引いておきたい。