徒然なる儘に ・・・ ⑤

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2024年6月26日(水) “自由な時間”と未来社会論の魅力

2024年6月26日(水)

“自由な時間”と未来社会論の魅力

志位議長、縦横に語る

 日本共産党志位和夫議長は25日、「『自由に処分できる時間』と未来社会論―マルクスの探究の足跡をたどる」をテーマに講義を行いました。同講義は党の全国都道府県学習・教育部長会議の「第1部」として行われたもので、ユーチューブで配信されました。“自由な時間”と未来社会論の魅力を縦横に語った志位議長の講義に、全国から「共産主義のイメージがガラリと変わり、うれしい衝撃を受けた」などの感想が多数寄せられました。


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(写真)講義する志位和夫議長=25日、党本部

 4月27日の「学生オンラインゼミ」で志位氏は、「『人間の自由』と社会主義共産主義―『資本論』を導きに」と題し、「人間の自由」をキーワードにして、党綱領が目指す社会主義共産主義について講演。「自由に処分できる時間」をとりもどし、拡大し、すべての人に「自由で全面的な発展」を保障しようという社会主義共産主義論が大きな反響を呼びました。この日の講義も、「共産主義と自由」の問題を日本の社会変革を進める戦略的課題として重視する立場から開かれたものです。

資本論』『草稿集』にそくして足跡をたどる

 志位氏は冒頭、4月の「オンラインゼミ」の講演では「初めての人にも分かりやすく」ということで、マルクスの『資本論』『資本論草稿集』などの古典について、原典ではなく“志位和夫版意訳”で紹介したが、「今日はマルクスの古典(原文)そのものにそくして話したい」と表明。「マルクスが『自由に処分できる時間』をどう位置付け、それとのかかわりで自らの社会主義共産主義論をどう発展させていったのか、時系列でマルクスの探究の足跡をたどってみたい」と述べました。

 志位氏は、講義で『資本論草稿集』についても引用・紹介する意味について、「『草稿集』は『資本論』以上に難しい面もありますが、『資本論』第3部で明らかにされている未来社会論を理解するためには『草稿集』での解明が不可欠だと思います」と強調。「『草稿集』での解明を頭に入れたうえで『資本論』の未来社会論を読むと、その意味がはるかに豊かに、かつ分かりやすくつかむことができるというのが実感です」と語りました。

 志位氏は、マルクスにおける「自由な時間」の問題については、不破哲三前議長の長年にわたる掘り下げた研究、現・社会科学研究所所長の山口富男氏の詳細な研究(『経済』5~7月号)があるほか、杉原四郎、蛯原良一両氏など先行する研究者による先駆的業績があり、講義は、その全体を踏まえて、若干の点を付け加えて準備したと表明しました。

個人の自由で全面的な発展を基本原理とする社会

 志位氏は、講義の冒頭に、エンゲルスが最晩年(1894年)に、未来社会の特質について問われた際、「各人の自由な発展が、万人の自由な発展のための条件である結合社会」とする『共産党宣言』(1848年)の一節をあげたことや、マルクスが1866~67年にかけて書き上げた『資本論』第一部・完成稿で「各個人の完全で自由な発展を基本原理とするより高度な社会形態」と述べていることを紹介。

 マルクスエンゲルスが「人間の自由で全面的な発展」を一貫して未来社会の最大の目標、特徴、基本原理としてきたと強調し、「『人間の自由で全面的な発展』を可能にする社会とはどんな社会かについての、彼らの終生にわたる探究の足跡をたどってみたい」と述べました。

社会の発展は、時間の節約にかかっている

 志位氏が講義で依拠し、解説した古典文献は、執筆の時系列に(1)『ドイツ・イデオロギー』(1845~46年)(2)『ロンドン・ノート』(ディルク抜粋)(1850~53年)(3)『1857~58年草稿』(4)『1861~63年草稿』(5)『賃金・価格・利潤』(1865年)(6)『資本論』第三部(1865年)(7)『資本論』第一部・完成稿(1866~67年)などです。

 志位氏は、マルクスがロンドンで本格的な経済学研究を始めた1851年7月ごろ、1冊の匿名パンフレットに出会ったと紹介。筆者はCh・W・ディルクであったことが後に明らかになったとし、「富とは自由に処分できる時間」との記述にマルクスが“わが意を得たり”と注目し、自らの未来社会論の根本に位置付けていったとしました。

 志位氏は『57~58年草稿』について「『自由に処分できる時間』と未来社会論の最初の表現が述べられている」と指摘。その「貨幣に関する章」で「社会の発展は、時間の節約にかかっている」という命題を押しだしたことを紹介し、「これは『時間』と『未来社会』の関係をはじめて論じた重要なものだと思う」と述べるとともに、「この解明は資本に関する分析以前のものであり、階級的観点は含まれておらず、いわば『人類社会における時間規定の意義』を語ったものだと思います」と強調しました。

資本は、「自由な時間」、文明を横領する

 続けて志位氏は、マルクスが『57~58年草稿』の「資本に関する章」の中で、資本主義的な搾取の秘密の解明を踏まえて、「ディルク抜粋を手掛かりにしながら、『自由に処分できる時間』の意義、それが対立的・敵対的性格をとることを明らかにしていきました」と論を進めました。

 「自由な時間」を搾取と結びつけて論ずる中で、マルクスが「資本家は労働者によってつくりだされた、社会のための自由な時間、すなわち文明を横領する」という鋭い告発を行っていることを紹介。「ここには搾取によって労働者の知的・精神的発達の可能性が横領され、はく奪されていることへの厳しい告発があります」と強調しました。

 志位氏は、さらに「この『草稿』のなかでマルクスは、未来社会に進んで搾取がなくなれば『自由に処分できる時間』が万人のものになるという大展望を示しています」としたうえで、マルクスが「そうなれば、富の尺度は、もはや労働時間ではけっしてなくて、自由に処分できる時間である」としていることに注意を向け、「全面的に発展した人間こそ本当の富だという思想が示されていると思います」と語りました。

 また志位氏は、マルクスが「自由な時間」は、その持ち手を「これまでと違った主体に転化」し、労働の生産力に反作用を及ぼし新たな発展をもたらすとしたことについて、「個人の発展と社会の発展の好循環に踏み込んだものとして、『資本論』の未来社会論につながる論理が展開されています」と語りました。

「物質的富」だけでなく「自由な時間」が奪われている

 志位氏は『61~63年草稿』について、「『自由に処分できる時間』と未来社会論の本格的発展があります」と述べました。

 「剰余労働の性格」の項で、支配階級が剰余労働から受け取っているものは、(1)物質的富とともに、(2)「自由な時間」の「二とおりある」と述べていることを紹介。「オンラインゼミ」で、「搾取によって奪われているのは『モノ』や『カネ』だけでなく『自由な時間』だ」と述べたことは、マルクスのこうした解明を踏まえてのものだと強調しました。

 志位氏は、マルクスが「時間は、諸能力などの発展のための余地(場)」「自由に処分できる時間」は「真の富」だと述べていることについて突っ込んで解明。労働は「物質的な富」をつくりだすが、「自由に処分できる時間」がつくりだすものは「全面的に発展した人間」であるとし、「これ以上の『富』はありません。マルクスが『自由に処分できる時間』は『真の富』と述べたのは、そういう意味だと思います」と語りました。

未来社会論の理解には『資本論』と『草稿』のセットでの理解が不可欠

 志位氏は、1865年前後の『賃金・価格・利潤』での記述や『資本論』第三部でまとまって示された剰余労働論、未来社会論を解説したうえで、『資本論』第一部・完成稿(1866~67年執筆)において、資本主義的生産が廃止されれば、(1)一切の搾取がなくなること、(2)資本主義につきものの浪費がなくなることによって、労働時間の抜本的短縮が可能になり、人間の全面的発達のための時間が万人のものになるという展望を示したと述べました。

 志位氏は、講義の中で、マルクス未来社会論を深く理解するには、『資本論』と『資本論草稿』をセットで理解することが不可欠となっていることを繰り返し強調しました。

現代日本のたたかいにも指針として生かそう

 志位氏は、「自由に処分できる時間」こそ人間にとっての「真の富」だというマルクスの提起について、「これは未来社会で初めて問題になることではありません。現代日本のたたかいにも指針として生かすことが大切ではないでしょうか」と語りかけました。

 労働時間規制で日本が異常な国際的立ち遅れにあるなかで、「過労死をなくせ」「サービス残業をなくせ」「ブラック企業の規制を」などを掲げたこれまでのたたかいの成果を踏まえ、「労働者の自由な生活時間の全体を豊かにする」ための運動へとさらに豊かに発展させていくことの重要性を強調。

 「マルクスの言う『自由に処分できる時間』を拡大することそのものを目的にすえた、労働時間運動の質的発展がいま必要ではないでしょうか」と語りました。

日本の社会変革を進める戦略的課題として

 最後に志位氏は、党綱領と大会決定を土台とした「『共産主義と自由』に関する理論的探究の諸成果、そこで明らかにされた新しい社会主義共産主義論を、全党が深く身につけ、広く語り抜くならば、強く大きな党をつくるうえでの決定的な力となり、日本共産党の新しい躍進の時代をひらく大きな力になることは間違いありません」と強調し、講義をつぎのように結びました。

 「日本共産党は、その名が示すとおり、共産主義を理想に掲げている政党であり、私たちは共産主義者の集団です。当面する国民の切実な要求にこたえたたたかいにとりくむとともに、『共産主義と自由』の問題を日本の社会変革を進める戦略的課題として重視して位置づけ、学び、語り合うことを強く訴えます」